日本百貨店協会が発表した全国百貨店(73社、196店)の20年1~12月売上高は、前年比25.7%減の4兆2204億円となり、3年連続で前年割れとなった。市場規模は91年の9兆7130億円のピーク時と比較して約5割縮小した。
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月別で増収だった月はなく、年間を通して全て減収だった。1回目の緊急事態宣言が出された4月には、統計開始以来最大の減少率である72.8%減を記録した。前年実績を大きく下回ったのは、新型コロナウイルス感染拡大によって一時営業自粛を余儀なくされたほか、時短営業を実施したことなどから、客数が落ち込んだため。それに加えて、これまで百貨店の頼みの綱だったインバウンド(訪日外国人)需要が大幅に減ったことによる。インバウンド売り上げは過去最高を更新した前年の3461億円を大きく下回る686億円(80.2%減)となった。
売上高構成比の約3割を占める衣料品が31.1%減と14年から8年連続の前年割れとなった。婦人服は32.2%減の7192億円で、1兆円を大きく下回った。衣料品売り場の縮小や大手アパレル企業の大量退店などの影響もあるが、今後新たな生活様式に対応した売り場作りが急がれる。これまで比較的堅調だった雑貨や化粧品、美術・宝飾・貴金属などの高額品も軒並み2ケタ減だった。
地区別では、10都市が28.1%減で、札幌や東京、大阪などコロナの影響が大きかった大都市が落ち込んでいる。地方は19.4%減で、こちらも大きく落ち込んでいるが、都市部と比べるとマイナス幅は小さい。
■12月は13.7%減
12月の全国百貨店売上高は13.7%減の5464億円で、15カ月連続の前年割れとなった。美術・宝飾・貴金属が1.9%増と3カ月連続で増加し、富裕層を中心に底堅く需要があったが、コロナ感染再拡大による自粛ムードを補うには至らなかった。インバウンドは88.6%減と11カ月連続でマイナスとなり、依然低水準のまま。家ナカ需要の高まりにより、クリスマスケーキやおせちは活況で、特におせちは会期終了前に完売するなど好材料もあった。
東京地区は15.9%減の1472億円で、15カ月連続の前年割れ。21年1月の商況は18日時点で42.4%減と緊急事態宣言の影響が大きく出ている。