蝶理中東のトーブ向けテキスタイル販売が好調に推移している。20年度は苦戦し45億円弱の売上高だったが、22年度には65億円強にまで伸ばした。北陸産地の人手不足など課題もあるが、差別化した製品や海外拠点を活用し更なる拡大を目指す。
中東民族衣装は世界的に見ても珍しい「テキスタイルの原産地にこだわる商材」(岡口靖彦蝶理中東社長)だ。品質の高さから日本品は高級品として位置づけられ人気がある。「2000年代は日本品のシェアが8割を占めていたが、現在は約4割に減少。韓国や中国品などが日本品の半分ほどの価格で定番ゾーンに参入している」という。
割合は減ったものの、品質と信頼性の高さから依然として日本品への引き合いは強い。ポリエステルと「モダール」や「テンセル」との複合など、海外メーカーでは供給できない差別化した製品を提案する。
一方で、産地の人手不足などの問題からニーズに対して供給が追い付いていない状況となっている。蝶理はタイやインドネシアに現地法人を持つ。日系メーカーの日本企画品を生産し、日本品が減った分をカバーする。同社の扱いは50%が日本産、30%がタイ産、残りがインドネシア産などとなっている。
ドバイとサウジアラビアに拠点を持つことが蝶理の強み。イランやイラク、北アフリカにも販売先を持つドバイの取引先と、国内向け中心のサウジアラビアとの二本立てで市場の変化に対応し、拡大を目指す。