結局世の中金か?! 再三再四模写事件(阿賀岡恵)

2016/05/25 12:12 更新


 ここ最近また欧州近辺で弊社アヤメソックスのデザインコピー事件が相次ぎました。絶えず同じ事が頻発し、うんこザックリ、略してウンザリしております。

しかもコピーされたのは全て、アヤメを代表するデザインのバスケットランチソックス。去年のクリスマス辺りからポツポツ見つかっていて、腹立たしくはあったけれど、その時すぐには見ないようにしていて、繁忙期が落ち着いた時に対応しようと思っていました。

何故かと言うと、この手の案件の対応にあたった場合、気力、体力、時間など、色々な大切なモノが瞬間的に奪われ、双方良い形に帰結したとしても、最終的にすごく自分が消耗されてしまうのです。

こういう事がある度、「コツコツと真摯にものづくりと向き合いクリエーションさえ確かであれば例えウチのような小さなブランドでも世界中のどんな店にでも正々堂々と認められる」という、今まで自分が信じて積み重ね、心の拠り所にしてきたことが、急にバカらしく思えてしまうからです。結局金かよ、って。

 人生はお金が全てではありませんが、世の中は資本主義である以上、小さなことから大きなケンカまで、資本の強い人(企業)が勝者になる事が殆どです。

今回は全部で4件、ひとつ目は日本でもファッションピープルの中ではけっこう有名な欧州最大のドイツの靴下会社F社、2つ目はデンマークの歴史ある中規模の靴下会社M社、3つ目もアーガイルで有名なイギリスの歴史ある中規模の靴下会社B社、4つ目はロンドンの若いアパレルブランドF&T社でした。

先ずはそれぞれにメールで問い合せたところ、幸い今回は皆さん上の方々の対応が良かったので、そんなに嫌な思いをすること無く、全ての会社から誠意ある(?)返答をいただきました。

 

 
AYAME SOCKS バスケットランチソックス(レディス2,000円・メンズ2,400円)

 

Ayameのアイコニックなデザインであるこのバスケットランチソックス、誕生したのは2011年、東ロンドンの古いパブでカゴに無造作に入ったフィッシュ&チップスを食べながらランチミーティングをしていた時です。

その後デザインをおこして靴下の機械にかけるも中々上手く行かず、何回もやり直し、技術的な問題(柄域、色数、糸道など)を全てクリアして出来上がってきた思い入れのあるデザインです。

参考にしていただけるのは嬉しい事ですが、そこにそのデザイナー自身の工夫やオリジナルデザインへのリスペクトが無いことは、本当に馬鹿げていますよね。 

皆さんコピーしたとは絶対に認めないのですが(当たり前だ)、どんな返答だったかを軽く紹介させていただくと、「そう思わせてしまったなら申し訳ない、でも決して故意にやったわけでは無くアヤメを冒涜(ぼうとく)しているつもりもありません、これは偶然の一致だと信じていますが、企画チームやこれに関わった全てのメンバーと共有し、二度と同じ事が無いようアヤメをリスペクトします」という感じの内容でした。

はい、どうもありがとう、でもね、偶然の一致っていうのは万が一にもありえません。何故ならデザインには理由があって、技術的な問題をすり抜ける為に施しているデザインが何ヶ所かあるからです。

一番大きいF社は今でも創業者一族が経営しており、同名字の会社役員から返事がきましたよ。8人ぐらいCCが入っていて、半数以上の人達はグーグル検索しても何も情報が上がって来ませんでしたが、そのうち二人はF社の顧問弁護士でした。これは確信犯のケースですね。戦ったとてウチは勝てますよ、とでも言いたいようでした。超ムカつくー!

2つ目のデンマークM社と3つ目のイギリスB社は様子がよく似ていて、ワタシ想像するに、古い会社の体制を刷新しようと外部からクリエイティブディレクターやキャリアタイプのマネージャーを連れてきているような感じでした。

口ぶりから言うと、外部から来ている彼らは当然アヤメを知っているようで、こう言ったケースにもスマートに対応する感じでした。

これって何だかどこも一緒なのかなと思ったのですけど、靴下は商材としてすごく優秀で(一つの工場ですべてを完結できる点、生活必需の雑貨であるという点、原価率等)、売り方や仕掛け方次第ではもっともっと可能性があり、日本の靴下なんかは堂々と世界に打って出て行けるはずなのですが、当の本人達がその強みを分かっていないように見えるのです。そんで、外部から人を連れてきたものの、特殊な工程と業界であるが故、中々上手くかみ合って進んで行かない、そんな感じに見えました。


 
アヤメ興信所、グーグルストリートヴューでデンマークのM社を調査中。
地獄の果てまで追跡するわよ~。ド田舎でそれなりの規模の会社(工場)の模様


4つ目のロンドンのF&T社は話にもならんかったです。ウェブだけ見てると小ざっぱり小洒落ていて、会社の詳細が載っていなかったので得体が知れなかったのですが、取りあえずウェブから問い合わせ、でも暫く返事が無かったもので、その間に何者だか調べ上げ、責任者を探し当てた所でもう一回ウェブから名指しで問い合わせたら、その10分後に返事がきました。

今どきグーグルもあるし、LinkedIn(世界最大級のビジネスパーソン向けSNS、私もやっているので彼の詳細を閲覧できた)もあるし、いい加減な事しているとすぐ見つかっちゃいますよ。

彼、バーミンガム大学の経営学部を卒業し(バラしちゃえ!)、ロンドンの何ちゃらマーチンズの短期コースをサラッと撫でた後、ロンドンのセレクトショップでバイヤーを経験し、昨年独立した模様。ファッションにもクリエーションにも何の情熱も敬意も無いくせして、市場のトレンドを売れそうな感じで上手いことお洒落風にこなして、商品アイデアは全部盗作している感じの、私が一番嫌いな類の人でした。

返事は、「ひー、ゴメンナサイゴメンナサイ、友達のフリーランスのデザイナーに頼んだらこうなってて僕は知らなかったし、もう在庫もあんまり無いし今後再生産もしないし、僕達はたった2人のまだ2年目の本当に小さな会社で、かくかくしかじか・・・」みたいな、ド素人のどうしようも無い感じの対応でした。うるせー、何言ってんだ、こちとら一人で10年目だっつーの。

ついでにもう一つ最近の珍事をご紹介しますと、アヤメを生産してくれている奈良の工場さんのウェブサイトにイギリス中部レスター地方の靴下会社から問い合わせがあり、英語が全くダメな工場さんに代わって、私が翻訳してセリフを作ってあげてやり取りしていたら、そのイギリス人からこんなデザインを生産して欲しい、と送られてきたデザイン画がアヤメそっくりだったという・・・ 。

もちろん長年一緒にやってきたアヤメの生産工場さんはそういう事が大嫌い。丁重にお断りする英文をこしらえて送りましたけどね。

と、まあ最近はこんな感じです。以前にも繊研plusでクリエーターの知的財産について書いたのですが、当時は私も若かったもので、怒りの警告レターを内容証明でスウェーデンに送りつけています(笑)。今は少し成長したので、今回は落ち着いて対応できました。

以前の記事にご興味のある方は、ぜひ読んでみて下さいね。2013年12月20日「クリエーターブランドの知的財産権

 しかし、もはや世の中自体がコピー&ミックス、やられていちいち怒り続けてもしょうがないですし、こんな極東にある弱小木っ端ブランドがここで何を言っても誰にもどこにも届くわけは無いのです。

ということで今回はコピーされた事を逆手にとって、礼儀正しい苦情のレターを送りつつも、よかったらディレクションかデザインコンサルして差し上げましょうか?とオファーしてみました。まだ何も仕事に繋がってはいないですけど、この方がよっぽど前向きかなと思って。

 結局世の中お金なのか、という題名の真意ですが、結局は大量に生産してばら撒いたもん勝ちというか、いくらオリジナルのデザインがアヤメでも、ウチの規模では生産量に限界があります。したがって沢山の人に届いたのは、前述4社のコピー商品。悲しいですけど、それが現実です。

物が売れて行く理由って単純にデザインや商品の力だけでは無く、特に雑貨は、生産量やオペレーションが大きな理由で、つまり消化仕入の体制を整えられるかどうかとか、PRや営業関連の事業にどれだけ予算投入できるかとか、どれだけ一斉に沢山の人にばら撒けたか、要は資本が強いかどうかが商売を左右します。

私のしょぼい独資では、1SKUにつき1000足ですら在庫を抱える事は大きなリスクになるし、したがって消化仕入で委託販売が基本の百貨店のような業態の方々とも大きく取引する事は不可能です。買取だけで堅実に小さくやっていても、全然広がって行きません。

 お金には変えられない情熱が石を穿つと信じてこれまで素手で戦ってきましたが、小規模でやっている以上、こういう悔しい思いは延々と続いて行くであろうと思います。

事が起こる度一つ一つ対応していますが、叩いても叩いても出てくるモグラたたきのようで、その度に悲憤慷慨し、自分の信念も傷つけられ、資本のあるトンビに油揚げをさらわれてしまう可能性と常に隣り合わせ、いつしか、困難の中でも前進して行こうという自分の気持ちが萎えてしまわないか本当に心配です。

結局世の中お金だよ、という結論にそろそろ行きついてしまいそうですが(笑)、そして9割方はそうなのでしょうけど(泣)、でも残りの1割のそうで無いと信じて取組んでいる事が、今後の人生で壁にぶち当たった時、暗闇を照らす光になると私は信じています。

 しかしですね、ブランドの成長に伴いそろそろ限界が来ているのかも。私の精神力もそんなにもたんよ。ウチ、規模は小さいけど少量ずつでも世界の良い店に卸していて、それなりに露出しているから、トンビに見つかる確率が上がって来ているのです。

適切なタイミングでシールドを張らないと、せっかく10年育ててきたブランドを傷つけられるばかりか、しまいにゃ殺されかねないです。しかも人知れずひっそりと。ブランド設立10年を目前に、次の展開を考える岐路に来ているのかもしれない。

 やっぱアレかな、パートナー企業を見つけて量を売るディフュージョンブランドをやるのが良いのかもしれない。アヤメのメソッドはそのままに、国内にも海外にもどんどん売ってく感じで。これ、いいアイデアだね!

そしたら世界中の人々に広くアヤメをお届けできるし、デザインの起源がここだという事を皆に知ってもらえますね!という訳で、ディフュージョンブランドのパートナー企業を募集します!これを読んでアヤメにご興味ある企業の方は、是非ご連絡下さいね!

と、最後に図々しく広告を打って今回のレポートは終了です!たくましく生きないとね!

皆様、また次回!

 




気鋭の靴下ブランドAyame’の活動記録。現在年2回、東京、パリ、ニューヨーク、ロンドンにてコレクションを発表、Made in Japanの靴下を世界に発信中 あがおか・あや/Ayame’socksデザイナー/桑沢デザイン研究所卒/2007年Ayame’設立



この記事に関連する記事