合同展事情を読んで動きを見なおす(阿賀岡恵)

2015/02/12 00:00 更新


2015秋冬のセールスキャンペーンが始まっております! 少し前ですが、メンズの展示会でニューヨークに行っておりました!

と、NY展示会レポートを書こうと思うのですが、年間のルーティーンをネタにレポートしていると、毎年同じ時期に同じ場所に行って同じ事をしているので内容がかぶってきます。去年のこの時期のレポートもNY展示会の事でした(去年のレポートはこちら)。

このレポート+が始まってから1年半ほど経ちますので、毎年同時期に「どこそこで展示会してきました楽しかったですイエーイ」みたいなレポートじゃ読者の皆さんもつまらないですよね。なので今回は、昨今の合同展事情も含めて、実際に行って展示会をして、どんなことを感じているかにフォーカスして書きたいと思います。

AYAME SOCKSも海外展示会出展歴7年になってきましたので、時々、これから海外を目指すブランドさんにアドバイスを求められることがありまして、そういう方々に向けて、少しでも様子が伝わればなと思います。全て主観になりますが、参考までに。

 


≪今回のNY展の様子≫左上:H.P.France NYの岩城部長と私。同世代の頑張る仕事仲間 右下:AYAME営業部長マシューとNY在住の英人デザイナー、グレッグ・チャップマン。グレッグはすごいデザイナーさんなのです


我がAYAME SOCKSの海外ビジネスは、やはり秋冬に強くセールスの成績が良いのも秋冬の回です。今回もたくさんの良い出会いがあり、ビジネスもしっかり取れて、充実したニューヨーク出張でした。大漁旗が揚がるほどでは無かったですが、AYAME的には良かったです。メンズの展示会ビジネスはレディスほど波が無く、良くも悪くも安定しています。

最近の海外合同展事情ですが、ここ1年ぐらいで急速に変化しているように感じていて、ウチもそろそろ動きを見なおす時期かなと思っています。

弊社のような小規模でクリエイション重視のブランドが出展する展示会は、メンズNYならAYAMEが出展しているCapsuleと、他にはLibertyMANあたりが競合です。それぞれの展示会が、ニューヨーク、パリ、ラスベガス等、各都市で開催されています。もっと細かく言うと、ロンドンのJacket Required、東京ではJUMBLE等、小規模の良い展示会はたくさんあります。

ブランド側からすると、どの展示会の、どこの都市で開催されているものに出展するか、という事がポイントで、これを踏み間違えて自分のブランドと合致していない展示会に出ると、散々な結果になり、海外展を続ける気力すら失せてしまいます。

MANやLibertyは比較的新しい展示会で、マンネリ化するにはまだ若いので、勢いがあると思います。Capsuleは去年のはじめ頃に買収劇があり、その後の雰囲気はどうなっていくのか・・・と囁かれていましたが、少なくともメンズ・ニューヨークは、今のところ大きく変わった様子はありませんでした。

ウチがCapsule NYCに出展し続けている理由は、雰囲気が気に入っていることと、Capsuleの本拠地がニューヨークだからです。MAN NYCも良さげでしたが、ヨーロッパの人々が言うには、MANはパリの方が盛り上がっているとの事です。MANの本拠地はパリなので、そりゃあそうでしょうよ。

国が違えば、ビジネススタイルも全く違うので、ホームで開催する方が強いに決まっていると思います。私、日本人だから日本人と喋るのが一番得意ですし。


 
≪他の展示会の様子≫上段:Libertyは会場の雰囲気もステキ 右下:MANのビジュアルはアヴァンギャルドでかっこいい

 

レディスとメンズの合同展の雰囲気は少し違っています。AYAME SOCKSでは、レディスはパリの合同展Premiere Classeに出展しているのですが、去年10月のレディス・パリ展示会で感じていたのは、2009年以降ジワジワと下降していた市場がさらにもう一段階冷え込んだかな、という事でした。ストンと階段を踏み外したような感じで。

合同展もパワーダウンしているのはもはや否めない感じで、いつだって強気だった主催者も葛藤しているように見えました。レディスのパリ合同展事情については、JETROさんのこんな資料を見つけました。パリの見本市事情がとても分かりやすく書かれていて、出展を検討されている方にはおススメの資料です!

 為替の問題は常にありまして、今は、出展費・滞在費が高くつきます。円安ならば商品は売りやすいのかと思いきや、価格が抑えられたとしても、全体的にエコノミーが悪いので、ドカーンとしたバイイングは稀です。特に、種まき段階の新参ブランドは中々買い付けてもらえないので、2~3シーズンはマイナス覚悟で臨んだ方が良いと思います。

為替的に今は、投資するにはどう考えても激しい向かい風で、高い出展費や旅費はとんでもない投資になるので、その辺の覚悟と余裕が無い場合は、もう少し円安がおさまった頃を見計らってスタートさせるのが良いと思います。

AYAMEはラッキーにも、海外ビジネス種まき期が、2009~2011年あたりのスーパー円高期だったので、オーダーがそんなに取れなくても、出展費・滞在費のコストが今ほど高くついていなかったので、気持ち的にラクでした。

パリでオーダーが取れた日は祝杯をあげ、出展者仲間と夜中までカフェでワインを飲みながらトランプをし、でも1ユーロ=100円だったので、そりゃ愉快でした。

そろそろ動きを見なおそうかなと言いましたのは、こうやって徐々に合同展の事情も変化してきているし、違うお店さんとの出会いを求めて、展示会をチェンジする事も必要かな、と思ったのです。同じ展示会に出していると、同じバイヤーさんが回っていますしね。

AYAMEでは分かりやすいデータカタログを作っていて、既存のお客様はメールでオーダーして下さるようになったので、そろそろ動いても大丈夫かな、と。一度考え直してみて、今の状態がベストだと思いなおせば、そこに留まると思いますけどね。さーて、どうしよっかな、という所です。

 


2014年10月パリ展示会の様子。晩夏のような天気が続き、汗ばむパリコレでした

 

はっきり言って、今はどこも状況は良くないです。AYAME SOCKSが海外展示会にのり出した2009年頃、諸先輩方は、以前はもっと盛り上がっていたんだよ、と言っておられましたが、今はそんな2009年ですら華やかだったなと思えるぐらいの感じです。

ですから、こんな状況で海外展示会を続けて行くのは全くもっておススメできません。これから出展を検討している人に、海外展どうですか?と聞かれたら多分そう答えると思います。

でもそれは一般論で、他人様には勧められないのですが、個人的には真逆のことをしています。なぜかと言うと、そんな状況でも続けて行くという事は、否応なしに頭を使い知恵を絞らなくてはならず、自ら逆境に立ち向かう事で精神的にも鍛えられます。

と、マゾヒスティックな発言ですが(笑)、そうやって自分から行動して挑戦していくことは、自分の中の希望のシンボルになります。どんな時でも、少しずつ新しい何かをして、ビジネスもクリエイトしなくては。

そういう意味では、海外展示会はおススメです。色んな情報、其々の状況、それでも決めて行動するのは自分です。だからウチは来季も続けようと思います。

という訳で、仕事の内容は省略しましたが、今回も機嫌よく仕事し、全力で飲んで食べて楽しんできたのはいつも通りです。その辺のことは毎回同じですので、ご興味あれば過去のニューヨーク展示会レポートもぜひ読んでみて下さいね!

2015春夏メンズNYC>>>NYC展示会LIVE中継

2014秋冬メンズNYC>>>FLY THE FLAG 2014秋冬!>>>徒然ニューヨーク展示会

2014春夏メンズNYC>>>ニューヨーク展示会

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Ayame’ socks official Instagram : AYAME_SOCKS


気鋭の靴下ブランドAyame’の活動記録。現在年2回、東京、パリ、ニューヨーク、ロンドンにてコレクションを発表、Made in Japanの靴下を世界に発信中 あがおか・あや/Ayame’socksデザイナー/桑沢デザイン研究所卒/2007年Ayame’設立



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