YKKは、イベント・コミュニティー施設「ものづくり館byYKK」(東京都千代田区)で、ジーンズにまつわる期間限定の展示イベントを12月下旬まで開催中だ。「ジーンズが世界中に広まったのは素材や加工の技術革新があったから」(同社)として、加工の技術や、ジーンズに欠かせないリベットバーやタックボタン、ファスナーといった同社も作っている副資材の歴史や実物を展示している。
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洗いの技術は、洗い加工大手の豊和(岡山県倉敷市)の協力を得て、進化を続ける加工の方法を動画で紹介している。代表的なストーンウォッシュだけでなく、デザインデータをコンピューターが処理して加工するロボットシェービングやレーザー加工も見せた。
一方、ジーンズと副資材の歴史を紹介している。YKKスナップファスナーの商品企画開発室マーケティンググループのデザイナー・グループ長の岩田康平氏は、「ファスナーはワークウェアとともに進化を遂げてきた」と強調。ジーンズは1873年に米国西海岸で坑夫の作業着として誕生。ポケットの縁にはリベットバーという金属製の二つのパーツを組み合わせて補強したため、「リベット衣料とも呼ばれていた」という。
リベットバーだけを見ても奥が深い。例えば、リーバイ・ストラウスのジーンズは年代やリベットバーを手打ちする職人によって、打ち付けられたリベットバーの潰れ方が異なる。「ジーンズの愛好者にとってはそれがたまらない」(岩田氏)ポイントだ。ジーンズデザイナーによっては、「ある特定の時期に作られたジーンズのリベットバーの潰れ方を再現してほしいという指定もある」という。
そのほか、曲折を経ながらも、様々な企業が技術を継承し、着実に進化を遂げてきたというファスナー産業の歴史にも触れた。同館の井上正弘館長は「様々な人たちの知恵、工夫の積み重ねが今につながっている。ものづくり館も様々な人たちの交流を生み、新しい発明を生み出せるような場になれたら」という。