ヤギとTFL ファッション3D・CG制作で新会社設立

2020/12/21 06:30 更新


 東京ファッションテクノロジーラボ(TFL)と、繊維専門商社のヤギは共同出資で、ファッション製品に特化した3D・CG制作の新会社ファッションメタデータバンク(FMB)を設立した。出資の過半はTFL。社長には市川雄司TFL社長が就任、ヤギから役員を派遣する。「コロナ禍でファッション業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)化は待ったなしの状況。テクノロジーによる業務改革や合意形成の迅速化、機会ロス低減や過剰在庫の解消を実現する。オープンイノベーションで多くの企業と共同し、新しいサプライチェーンモデルを構築する」(市川社長)方針。

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1割をコストカット

 掲げるのは「ファッション・デファクトスタンダード」。体制は3Dモデリスト30人、CGデザイナー20人。アパレル2D・CAD(コンピューターによる設計)ソフトに3Dモデリングや3D・CADソフトを連携させ、VFX(視覚効果)などの活用で精密な3D・CGを制作する。新会社設立で、「製造からリテールまで活用できる『バーチャルファクトリー』が実現した。TFLにより、デジタル技術とファッション感性を併せ持った人員体制も充実している」とする。

 削減できるのは、サンプル製作プロセス、EC先行受注による在庫やささげ(撮影・採寸・原稿作成)業務。生産リードタイムも短縮可能。コストメリットは、年間500型・売上高20億円の場合、「2億円程度を抑制できる。ささげ業務が圧倒的に圧縮できる」という。

 環境保護の観点からも注目される。ヤギの山岡一朗常務取締役は「中期経営計画でサステイナビリティー(持続可能性)の着実な実行と、次世代事業の創出を重要施策に掲げている。見本反やささげ業務を効率化し、物質的なロスを圧縮でき、商談も遠隔操作で時間的なロスも改善できる」と話す。

 既に21年春夏向けの商材からスタートしている。ODM・OEM(相手先ブランドによる設計・生産)を担う企業から、引き合いが強まり「複数の商社との取り組みが進んでいる。アパレルメーカーのDX化を直接に促す活動も行う」構えだ。

産業の環境負荷低減

 大手通信会社と共同でアパレル向けXR(仮想現実、拡張現実などの総称)を、来年の公開に向けて開発、新しい購買体験の提供を目指す。大手タレント事務所とも連携し、専属モデルや俳優、タレントのバーチャルヒューマンに3Dモデリング技術を活用。インフルエンサーとしての特性を生かしたプロモーションも提案する。

 市川社長は「ファッション産業は世界的に見れば今後も成長が見込める。だからこそ環境負荷をかけない産業として確立しておく必要がある。先駆的な役割を果たしたい」と話す。

3Dモデリングを中心としたテクノロジーサービスを提供する


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