ヤギがテキスタイル商談のDX推進 リアルな生地見本で

2020/08/11 06:27 更新


 ヤギは21年春夏向けから、テキスタイル商談でのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。ファッションテック専門学校の東京ファッションテクノロジーラボ(TFL)と協業し、生地見本・データをタブレット端末やパソコンで見せるほか、感性分析や3D・CGサンプルなどデジタル化サービスを提案する。

(小島稜子)

 同社は、今年5月に策定した新中期経営計画で、DXを重点施策の一つに据えている。以前からデジタル化の動きはあり、1月には一般消費者も購入可能なテキスタイルECサイト「ファブリー」を立ち上げた。今回はさらに、商談や最終製品の生産工程にまで踏み込んだ形だ。

 TFLとは、同校が取り組む生地のリアルな表面感や動きのシミュレーションを実現する細かな物性データの研究に、ヤギが素材提供で協力してきた経緯から協業に至った。生地見本は、TFLが開発したアプリケーション「バーチャルスワッチ」(仮称)を使い、3D・CGで再現した生地をタブレット端末で表示する。タブレット端末の加速度センサーと連動しており、タブレット端末の傾きに合わせて生地見本が揺れるので、落ち感や動きが伝わりやすい。組成など生地の詳細な情報はパソコンで見られる。現在は、アプリとパソコンの生地詳細データはそれぞれ独立しているが、連動は可能という。

 今後は、生地物性データの反映、生地詳細データとの連携などの開発を進める。ほかに、最終製品の3D・CGサンプルを回転して見られるアプリケーションも揃える。ヤギでの活用とともに、取引先のアパレル企業での導入を広げたい考え。

 デジタル化サービスは、TFLが校内の研究会で開発したファッションの感性を解析するAI(人工知能)「NADERA」(ナデラ)を提案する。コーディネート着用者の写真を撮影すると、エレガントやカントリーなどの8要素で数値化し、分類する。地域や年代でまとまった母集団を分析すれば傾向・トレンドが分かり、製品企画や店舗のMD、接客など幅広く役立てられるという。また、3D・CGデータをサプライチェーン全体で共有する情報統合生産モデルと、それを実現する他社ツールなども紹介する。

21年春夏は環境配慮素材打ち出す

 ヤギは21年春夏向けの素材提案で、地球環境に配慮した素材のテキスタイルコレクション「フォレシカ」を打ち出す。綿農家を支援するPBPコットンとの協業で、同社独自のオーガニック綿の取り組みに賛同するブランドが増えていることなどから、「日本でもエシカル(倫理的な)がスタンダードになりつつあると感じる。エシカルだけで売るのでなく、生地そのもののクオリティーをより高めていく」とする。

 新型コロナウイルス感染症の影響で展示会開催が例年より遅れたが、春夏素材の色味がシーズンレスで使えることもあり、来場者が大きく減少することはなかった。バイヤーからは、在宅時間の増加を受け、ジャージー、ニットといったストレッチ性があり家でリラックスして着られる素材の引き合いが強い。

東京ファッションテクノロジーラボとの取り組みを紹介した21年春夏展でのコーナー


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