絵や音楽に対して色など異なった感覚を覚えるのを共感覚というそうだ。感性を刺激するという意味ではファッションの得意分野。先日訪れた国際生地見本市のプルミール・ヴィジョンパリでもトレンドコーナーで共感覚が言及されていた。
個人的には文字というより文章全体にも色があるように思える。赤や青といった色彩を感じるわけではなく、個性のようなものだ。最たるものが小説やコラムなど作家さんの文章だろう。独特の文体や言い回し、話の持っていき方などでらしさが表れる。
新聞記事はどうか。一般的には不偏不党の精神から、極力色が無い文章が良しとされているかもしれない。ただ、中立であることと、個性が無いことは大きく異なるように思う。AI(人工知能)が作る記事との違いはそこではないか。もちろん偏った見方だけを紹介するのはあってはならないし、届けるべきではない。だが、色のない記事では決して共感も批評も得られない。情報を素早く正確に届けつつ、その上で個性が引き立つためにはどうしたらいいか。暗中模索が続いている。
(騎)