《視点》交流から導くチャンス

2025/09/26 06:23 更新NEW!


 過渡期を迎えている産地。産地フェスは、この数年で全国に広がり、地域経済の活性化にも貢献するまでになった。産地企業に勤める若手の中には「イベントの積極的な開催」に働く魅力を感じる人もいるようだ。

 この1年、取材を重ねる中でよく耳にした「交流」は今、産地を取り巻くキーワードだろう。象徴的な事例の一つは合同展示会。複数の産地の様々な業種や、かつては競争相手の企業が手を組んで新たな展示会を企画する動きが目立つ。根底にあるのは、少子高齢化や国産比率低下への危機感だ。協調する意識を改め、苦境を乗り越えようとする各産地、各社の切実な思いが機動力になっている。ブランドやメーカーと産地をつなげる活動も業界で動き出している。

 日本の繊維は世界で評価が高い。しかし業界を見渡せば、給与水準や環境対応で世界に後れを取っている現状もある。半面、若手にチャンスを与え、産業を盛り上げようとする経営者の声や働きかけを聞くと希望はまだある。交流が一層活発になり、技術や製品の開発、輸出促進に加え、産業全体で人を育てるような機運が醸成されればと願う。

(麻)



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