10歳近く離れた先輩と互いの10代の頃の話をした。私も先輩もギャルに憧れ、メイクもファッションも相当派手だったと意気投合した。ただ、掘り下げるとギャルという概念が同じなだけで、カリスマ的人物や時代を率いたブランドは異なった。当たり前だ。先輩が10代を過ごした90年代と私が過ごした00年代には10年の乖離(かいり)がある。それでも、トップシーンを走る存在をすげ替えながら、20年近くギャルのトレンドが続いたのはすごいことだ。
ニュアンスは少し違うが、今、その概念やスタイル自体への支持が広がっているのが「ビンテージ」の世界だろう。リアルなビンテージアイテムに魅了されるだけでなく、そこから着想した使い古したような素材の風合いやスタイルそのものを現代風に解釈したものが増えている。25~26年秋冬のレディスで、一気にそのムードが高まっている。
60~70年代のレトロさや80年代のパワフルさ。着想源は様々だが、当時を経験したベテランデザイナーも、各時代に憧れる若手も、再注目している。長く続く古着ブームが、さらに加速するかもしれない。
(音)