東京スタイルはキャリア向け婦人服ブランド「ナチュラルビューティー」で、講談社のウェブマガジン『ミモレ』の大草直子編集長をプロデューサーに迎え、米沢織を生かした共同企画商品を18年春夏に販売する。TSIホールディングスグループの縫製工場、TSIソーイング米沢が導入したJUKIの新鋭デジタルミシン「DDL‐9000C‐F」の縫製ラインを生かした商品を供給する。
久保田寛東京スタイル社長は「製造小売業の原点として、OEM(相手先ブランドによる生産)に依拠しない、自社による丁寧な物作りを行う。商品の品質を担保するためにも国内産地との協業を進めながら、産地の地域経済活性化にも貢献する」考えだ。
(北川民夫)
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大人の女性向け商品
今回の共同企画は大草氏が米沢産生地での別注企画から参画したもの。先染めの経糸シルク、緯糸コットンの平織りを使用したスカート(1万9000円)は「糸染めの濃淡を生かした奥行きのある発色で、大人の女性が着用できるピンクを表現した」(大草氏)。羽織りタイプのコート(4万3000円)は、スラブヤーンによるコットン・麻・レーヨン複合のジャカード織りでチェックを表現する。ハンドクラフトのカットジャカードによる繊細なフリンジと、特殊バイオ加工を施すことでしなやかな風合いを持つ商品。
スカートとトップの〝艶感セットアップ〟(2万9000円)は極細ナイロンとセルロース繊維「キュプラ」によるジャカード織りを生かす。スカートは「くすんだようなエスニックをイメージしたストライプ」の生地を別注した。若草色の無地で同様の素材混率のトップとの組み合わせで「タウンユースやリゾートでも活躍する」商品として販売する。
これらの商品は9日から販売。販路はナチュラルビューティー各店及びウェブショップ、ミモレ・ウェブショップ。期間限定店を伊勢丹新宿本店で28日~4月3日、JR名古屋高島屋で4月18~24日オープンする。
大草氏は「ミモレは〝45歳〟をキーワードにしたウェブマガジン。読者とは主催するイベントを通じて多くの接点があり、常にニーズをリサーチしている。米沢織には、繊細な上品さや素朴さとともに奥ゆかしさを感じる。今回のコラボレーションを通じて、大人の女性に向けた商品を提案することができた」としている。
スマート生産ライン
これらの商品はTSIソーイング米沢に配置する、デジタル制御の本縫いミシン、DDL‐9000C‐Fを活用した縫製ライン〝スマートライン〟で生産する。送り制御や押さえ圧、上糸張力などをデジタル管理することで制御の再現性を実現した。生地によって設定を変えられるほか、上手な人が縫ったサンプル縫製のデータを量産に生かすことで品質を確保できる。ミシン自体のネット接続も可能で、制御情報を共有できるほか、何回針が動いたかなどもネットワークで確認できる。
TSI・プロダクション・ネットワークの井上隆亮社長は「13台のデジタルミシンで構成したスマートラインを平均年齢22歳の6人の若手社員で動かす。熟練の縫製技術を省人化の体制で実現することを試みる。将来的にはIoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)と連動したシステムを構築し、従来の2~3倍の生産性向上を目指す」としている。