ボンジュール、パリ通信員の松井孝予です。
とうとう開きました。百貨店、ショッピングセンター、ブティック、etc.
エスカレーターで移動しながらのショッピングなんて4か月ぶり。
そして、ついについに開いた開いた。カフェ、バー、レストランのテラスが_ 7か月ぶりに。
こんな表現してもいいでしょうか。沙婆にでた気分ですよ。
賛否両論だったワクチン摂取も、今とはコロナ禍脱出の救世主となり、今度こそ3度目の正直、本当の都市封鎖緩和となりそうです。
この時期のパリは1年でいちばん気持イイのですが、3月から気温が上がらずダウンコートが放せないまま、太陽だけが高くなる日々でした。農作物は100年来の不作と予想されています。
空は雨と晴れを30分交代に繰り返し続け、おまけにテラスのパラソルも吹き飛ばすほどの強風。飲食店関係者は口を揃えて、「コロナ感染より低温と雨が怖い」と。
でもそんな心配はいらないよー。
日本人が「お花見」好きのDNAを持つように、パリジャンには「テラス」好きの血が流れている。
外だったらどこでもいい、雨風なんて関係ない、という強い志で、テラスでparisianer / パリジアネー、「パリジャンする」。
「こんなに寒くて、しかも雨が降っているのにテラスだなんて。暖かくなるまで待てばいいのに。まだ夏も終わってないのだから」と呟くのは、近所の茶飲み友だち、マダム・ブランシャール。
この3月に100歳を迎え、ますますお美しい生粋のパリジェンヌです。
月がかわり、ようやく季節らしい空になってきましたよ。
夏が終わる前に、1日でも早く町内でマダム100歳のお誕生会が開ますように!
Musée Carnavalet Histoire de Paris
ミュゼ カルナヴァレ パリ歴史博物館が再オープン
23, rue de Sévigné 75003
@museecarnavalet(パーマネントコレクションの見学は無料)
都市封鎖緩和を待ってましたとばかりに、4年間の大改修工事を終えたミュゼ カルナヴァレが再オープン!
パリ・マレのショッピングメインストリート、フランブルジョワ通りに面したカルナヴァレのあの美しい庭園に見惚れた経験をお持ちの方も多いのでは。
カルナヴァレは1880年に創設され、最も古いパリのミュゼ(美術館)のひとつに数えられています。
新カルナヴァレではパリの先史時代から現在までのパリの歴史を語るオブジェ3800点が、当時の装飾を尽くした演出で展示され、誰もが歴史再発見を楽しむことができます。
なかでもハマってしまうのがブーランジェリー(パン屋)からカーヴ(ワイン屋)、飲み屋からキャバレーの看板の展示室。
そして、あの『失われた時を求めて』のマルセル・プルーストの寝室を再現したプルースト展示室!
ここには、本になったほど奇妙なバックストリーを持つプルーストのマントー(オーバーコート)も展示されてます。
マリーアントワネットがギロチンにかけられるまでの最後の日々に身につけていた遺品もあり、ファンなら涙してしまいそう。
ブックショップ(もしくは、錬金術のインスタレーション)
驚くほど変化したブックショップは、カルナヴァレの見所のひとつ。
この変身を手掛けたのは、オートクチュールのデザイナー、Maurizio Galante & Tal Lancemant マウリッツィオ・ガランテとタル・ランスマンのデュオ(関係ないけど、彼らはれっきとした日本の怪獣マニア)。
ちなみにアラン・デュカスのボートレストラン「デュカス・スュール・セーヌ」の内装もこのふたりのクリエイションです。
マウリッツィオとタルは、ミュゼが所蔵する模型、地図、パリの看板を着想源に新たなブックショップを描きはじめたそう。
天井のインスタレーション「 Le ciel de Paris / パリの空」は、ハプニングのような驚きだ。
手で1枚1枚カットしたゴールド、シルバー、ブロンズの薄片8000枚を繋げながら、エッフェル塔、凱旋門のランドマークを逆立ちさせている。
Galerie Lelong & Co. Robert Rauschenberg Photographies
開いた開いたアートギャラリーも!
とつい勢いよくギャラリーの梯子をしてしまったのですが、感受性とウォーキングのダブルのエクササイズ、サイコーにキモチイイ~
思いっきり視覚を目覚めさせてくれたのは、ギャラリーLelong & Co. で開催されている米人アーティストRobert Rauschenberg (1925ー2008)の珠玉の写真展でした。
ラウシェンバーグ初期、1949ー1961の知られざるポートフォリオ Rauschenberg Photographies から貴重な12枚を、写真家本人のよる銀塩プリントを鑑賞。
ブラック・マウンテン・カレッジで撮った写真もあり、大変レアな機会です。
デジタルプリントばかりみていたせいか、銀塩の美しさに目が鳥肌しました。
このギャラリーで開催中の展覧会はこちらでどうぞ。Instagram @galerielelongparis
昨年3月から本当に続いてしまった都市封鎖。「見る」ことで窒息していた目が蘇ってきた今日この頃です。
それではみなさん、ア ・ビアント A bientôt !
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。