フジタと仏像で幕 ジャポニスム2018(松井孝予)

2019/03/12 06:25 更新


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日仏友好160周年を記念する一大イベント「ジャポニスム2018」が、2月に終了しました。昨年のプレオープニングから8か月間、パリの文化施設を中心に、ありとあらゆる日本文化のあれこれが展開されました。数字でふりかえってみましょうか。100のオフィシャルプログラム、200を超える参画イベント。動員数300万人。

前回までのレポートはこちらから

ヒット番付のトップは、ラ・ヴィレットで開催された「チームラボ」によるデジタルアート「境界のない世界/オ・ドゥラ・デ・リミット」展。来場者数は3か月間で30万3000人!最終日には入場に辿り着くまで2時間半待ち。この展覧会は、本当に面白かったですね。

自分自身がアートの中に入ったり、いつの間にかその一部になってしまったり、知らない人同士がアートで結びついていたり。この分野で初の多次元体験を与えてくれました。2位は、ポンピドゥーでの安藤忠雄展の17万人。(この偉大な建築家によるピノーコレクション美術館のオープニングが待ち遠しいです。)

そして一番のトピックは、「若冲」展でしょう。欧州初でもあったパリの若冲展。たった1か月間の会期中に、この地では無名だった日本画家が大ブーム巻き起こす!  自宅で「若冲に夢中」になるがため、来場者の4人に1人はカタログを購入するという異例の事態となりました。

Foujita, Autoportrait, 1929,huile sur toile, 61x50.2 cm,
The National Museum of Modern Art, Tokyo.
©Fondation Foujita / Adagp, Paris, 2018 

前記の「動員数300万人」。実はこの数字、未完の数なのです。というのは、フジタ展、ギメ美術館での奈良の国宝仏像展、「日本映画の100年」がまだ終了していないから。

FOUJITA ファイナルに最もふさわしい

パリ日本文化会館で開催の「FUJITA OEuvre d’une vie 藤田嗣治:生涯の作品 1886-1968」展(3月16日まで)では、フジタがパリに到着した1913年から20年代、晩年まで36点を5章で構成。日本で生まれフランス人として帰天した画家の仕事をたどっていきます。1930-40年代の中南米旅行、そして第二次世界大戦下、日本で描かれた作品、作戦記録画はフランス初公開とあり、フジタへの新たな評価となる展覧会として大ヒットとなり、ジャポニスムのファイナルを大変印象付けてくれました。

Foujita, Au cafe,1949,huile sur toile,76x64 cm,
Centre Pompidou, Paris - Musee national d’art moderne / Centre de creation industrielle.
©Fondation Foujita / Adagp, Paris, 2018

空を裂く Fendre l’air

ジャポニスム2018参画プログラムの最後は、日本の竹工芸展「空を裂く」。フランス初の「知られざる」竹の芸術を紹介する展覧会がケ・ブランリー・ジャック・シラク美術館で開催されています。ここでは茶道の花を生けるために作られた竹籠を中心に、「竹細工」を紹介していきます。

飯塚琅玕斎の作品

日本の竹工芸創成期の職人たちは、中国製の竹籠、通称唐物を摸倣したいたそう。それが明治時代になると、茶道の花籠が作られることで日本の竹工芸として発展。飯塚琅玕齋(いいづかろうかんさい)や早川尚古齋(はやかわしょうこさい)らが芸術の域へと高めていく、この竹工芸の美の歴史は圧巻です。本展に展示されている7人の現代芸術作家による竹のオブジェ、交差する竹の線がつくるそのフォームの、繊細であり強烈な、竹からは想像もつかない「知られざる美」に心底驚かされました。

飯塚琅玕斎

インフォメーション

ケ・ブランリー・ジャック・シラク美術館

MUSEE DU QUAI BRANLY JACQUES CHIRAC

4月7日まで

本展のカタログ FENDRE L’AIR / Skira 社刊

「空を裂く」のカタログ(英語ヴァージョン)

ユニクロ ル・マレ店では相撲錦絵特別展

それでは突然ここで、パリのユニクロ、ル・マレ店の登場です。

その前に_ ジャポニスム2018のプログラムに足りなかったアートがあります。それは以外にも浮世絵。19世紀の後半のヨーロッパ芸術、特にフランスでのジャポニスムを巻き起こしたのは浮世絵なのだから、2018年の新しいジャポニスムからはあえて外そう、ということになったらしい。でもこれはオフィシャルプログラム上のこと。

そこに目をつけたカルチャーイベントで定評のあるユニクロのル・マレ店では、ジャポニスム関連行事として大相撲初場所ならぬ相撲錦絵特別展を開催。しかもこれが本格的。日本相撲協会相撲博物館が所蔵する東洲斎写楽、喜多川歌麿、歌川派の国貞、広重らの絵師による大相撲の錦絵(18世紀中期に始まった多色刷りの浮世絵版画)をDNP(大日本印刷)がデジタル化した15点が、パリでのこの展示のために初めて海を越えて運ばれてきました。

四代田辺竹雲斎と貝島佐和子のコラボレーション作品
本田聖流の作品

それだけでなく同博物館コレクションを1冊にした150部限定の豪華装丁本『大相撲錦絵』(徳間書店)、歴代横綱の手形、横綱大乃国の化粧回しも合わせて展示。そして会場にはUTミーの機械を設置し、展示錦絵6点をモチーフにTシャツ制作サービスを提供。利用者には大相撲初場所の番付をプレゼントという、どすこいなサプライズ付き。大賑わいで千秋楽を迎えました。

ユニクロ ル・マレ


松井孝予

(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。

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