国内繊維産地が苦境に立たされている。コロナ禍以前から、産地企業の多くは人手不足、経営の後継者難といった厳しい環境に置かれ、分業・多段階で構成されるサプライチェーン(供給網)は年々弱くなっていた。ここに昨年来の原料・エネルギー費の急激な上昇や円安が追い打ちをかけ、価格転嫁の遅れが産地の存続を危うくしている。
(中村恵生)
吹き飛ぶ利益
金沢の繊維企業、カジグループの梶政隆社長は2月22日、西村康稔経産相との賃上げに関する懇談の席上で「(電気料金は)4月からの1年で倍の5億円になる見通し。価格転嫁しなければならないが、時間がかかる」と支援策の必要性を訴えた。
国内産地企業にとってコスト上昇と価格転嫁は共通する喫緊の課題だ。コロナ禍からの需要回復局面で世界的に原燃料が高騰したが、ロシアによるウクライナ侵攻がエネルギー価格をさらに押し上げる。事業向けに使われる高圧電気料金は、全国平均で21年2月を100とすると昨年10月時点で約1.9倍に上昇し、今年4月以降は各地でもう一段の値上げが予定される。
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