《小笠原拓郎の目》ラグジュアリーブランドのビジネスの変化とデザイナーコレクションの変質

2023/04/11 08:00 更新有料会員限定


「コムデギャルソン」の97年のコレクション(1997ファッション・ビッグバンの展覧会から)

 23~24年秋冬デザイナーコレクションは、ファッションを巡る愛や情熱が試されるシーズンとなった。ブランドビジネスが巨大化し、SNSを通じたイメージ戦略が過熱した。その結果、物作りへの愛情や情熱が希薄に感じられるようになった。ハイファッションがクリエイションを軸にしたビジネスとして成長していけるのか、あるいはイメージ戦略のネットビジネスへと転換していくのか。そんな岐路に立たされている。

(小笠原拓郎編集委員)

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加熱する〝バズらせ〟

 ブランドビジネスが巨大化し、大量のスモールレザーグッズの販売がビジネスの軸となって久しい。それとともに、SNSによるブランドのイメージ戦略が柱になった。インフルエンサーのSNSで〝バズらせ〟、簡単に売り上げを作りたい。その結果、各ブランドがアンバサダーを奪い合うことになったのは以前も指摘した。

 秋冬もその状況は続いている。ファッションショーに来場するブランドのアンバサダーやインフルエンサーと、それを取り巻く喧噪(けんそう)は激しさを増した。ブランド側はあらかじめ、どのセレブリティーがショーに来場するかをメディアに告知し、ハッシュタグをつけて投稿することを求めている。メディア側も投稿すれば自らのサイトがバズることが分かり、競合他社との関係でそうせざるを得ない状況。ある編集者は、「ゴシップライターのような仕事」と自虐的につぶやく。

97年のビッグバン

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