サイケデリック、NYでトレンドに?(杉本佳子)

2015/12/02 00:00 更新


 「それは面白い。そういうことを私に言ってきた人は、今週であなたが2人目です」。チェルシーのギャラリー「アルベルツ・ベンダ」で「横尾忠則:49年後」展のプレスプレビューに行ったとき、共同オーナーのトーステン・アルベルツ氏は、私の問いにそう返してきた。
 


「Tadanori Yokoo: 49 Years Later」が開催されているalbertz bendaギャラリー


 私はたまたま、そのプレスプレビューの前日の午後、ビクトリアズシークレットのファッションショーに行き、夜はオフブロードウエイの「トリップ・オブ・ラブ」を見た。

 ビクトリアズシークレットのショーの打ち出しはサイケデリック。トリップ・オブ・ラブは60年代の歌とファッションを満載したミュージカルで、舞台装置はサイケデリックな色柄。衣装にも、サイケデリックファッションがいくつも含まれていた。

 そして、サイケデリックアートで知られる横尾忠則展の開催。私はこの3者に共通する要素としてサイケデリックがあると感じ、その話をして、「サイケデリックがきていると感じますか?」とアルベルツ氏に聞いてみた、その時の彼の返事が、冒頭のコメントだったのである。

 私が「1人目の人はどういう方ですか?」と聞くと、アルベルツ氏は、「ニューヨークにいるアートコレクターです。彼は私に、『これからサイケデリックがくる。自分はこれから、サイケデリックアートにフォーカスして収集する』と言っていました」と話してくれた。

 というわけで、ニューヨークでサイケデリックがトレンドになるのか?という予感をもちつつ、この3者を紹介しよう。

 

初公開の絵を見る稀な機会という


 12月19日まで開催される横尾忠則展は、1966年以降に描かれた女性スイマーのシリーズと、ダンスをするカップルのシリーズの2グループに大別される。展示絵画数は22点。明るくエキセントリックな色柄とダイナミックな構図が特徴的だ。

 このギャラリーが横尾忠則の単独展覧会を開催するのは、これで3回目。過去には2008年と2012年に開催したという。



ダンサーシリーズは、1926年に公開されたハリウッド映画の「Son of the Sheik」とクリムトにインスパイアされた作品だそうだ


 ところで、今回展示されているすべての絵には、「450」という数字がどこかに書かれている。

 「450っていう数字には何か意味があるんですか?」とアルベルツ氏から聞かれたが、「いえ、特にないです」としか答えられなかった。アルベルツ氏は、横尾氏にその意味を尋ねたそうだが、教えてもらえなかったという謎の数字なのである。

 こちらは、ビクトリアズシークレットのファッションショーで登場したサイケデリックな色柄のファッション。ちょっとボヘミアンをミックスしたこなしになっている(写真下)。




 トリップ・オブ・ラブの舞台装置はこちら。壁面もサイケに彩られている。トリップ・オブ・ラブはセリフがまったくないので、英語がわからない人でも楽しめる。



Trip of Loveが上演されている会場。場所は42丁目の9番街近く photo:misaki matsui


サイケデリックな衣装は、男女共に着用されていた photo:misaki matsui


 使われた衣装は全部で500着とか。60年代調の音楽やファッションが好きな人にはお勧めだ。



89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッシ ョンビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで 20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜 更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダム に紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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