米大手チェーン店に日本の匠の技光る茶筒登場!(杉本佳子)

2014/03/05 00:00 更新


コンテナストアは、全米で60店舗以上を展開する収納グッズ専門の大手チェーン店だ。コンテナストアの平均的な広さは2300平方メートル強。巨大な売り場に、楽しくて実用的なさまざまな収納グッズが並べられている。



コンテナストアの外観


そこで、最近扱われ始めた日本の商品がある。それは茶筒!しかも創業したのが1922年という老舗の株式会社江東堂高橋製作所(東京)の商品だ。日本の老舗メーカーがつくった茶筒がアメリカの大手チェーン店の広い売り場の一角に鎮座しているのを見ると、なんとなく嬉しく、誇り高い気がする。



茶筒が置かれている棚

 

扱われているのは、和紙を巻いた茶筒が4種類と、茶筒をモダンにアレンジしたコーヒー缶。コーヒー缶は売り切れることもある人気商品だ。和紙の方は、コンテナストアが多くの柄の中から選択したという。




アメリカでの代理店を務めるフォーカス・アメリカ・コーポレーション(ニューヨーク)の蝉本睦社長は、「コンテナストアはコンテナ(容器)が主役のお店。茶筒はお茶に関連するところで日本では販売されるのがメインだが、やはりお茶が主役で、茶筒はどうしても準主役あるいは脇役としての存在であった。しかし、ここアメリカにおいては、コンテナストアといったユニークなお店があり、そして茶筒が堂々と主役として店鋪に飾られている点が感慨深いです」と語る。

蝉本社長はコンテナストアが何故気に入ったのかについては、「お茶の人気が高まりつつあるという背景に、日本的な柄でありながらモダンな外観、クオリティーの割に手頃な値段」と分析する。

全米お茶協会によると、アメリカではインスタントのお茶の需要は減少している一方、茶葉の人気は上昇中だ。アメリカでお茶といえばティーバッグに席巻されてきたが、最近はマンハッタンで茶葉を売る店は増えてきていて、自宅で茶葉を使う人が増えてきていることが伺われる。こうした背景もあって、コンテナストアが初めて日本の茶筒を扱うに至ったようだ。

ブリキ製であることから日本製の割に手頃な価格になっているが、江東堂の茶筒は一部機械を使いながらも1つ1つ熟練の作業者によって多くの工程を経て作られている。和紙も京都で染めて、1枚1枚手で貼っている。中蓋だけで16もの工程を経てつくられている上、縁を丸めたり、無鉛で接着したり、健康への悪影響が懸念されるビスフェノールAを使わなかったりと、クオリティーを高めるための工夫が随所になされている。

コンテナストアのようなメジャーな店で扱われることで、こうした日本の匠の技が入った商品が他の小売店にも広がっていったら、と思うと、小さな茶筒に向かって思わず「がんばれ!」と声援を送りたくなる。



89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ



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