パルコは16年8月から一時休業している渋谷パルコの建て替え工事を10月末に完了、新「渋谷パルコ」として11月下旬に開業する。食やアート・カルチャー、エンターテインメントの発信やデジタル技術を活用した売り場を充実しながら、「今まで以上に真剣にファッションの提案に取り組む」(泉水隆常務執行役パルコ開店準備室管掌)。
ファッションはパルコが従来から得意としてきた東京モードなどだけでなく、海外ラグジュアリーブランドや原宿系ロリータファッションなどを初めて本格的に導入する。テナント数は約180店で、年間テナント売上高約200億円を目指す。
(有井学)
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旧パート1とパート3のビルを一体で再開発し、オフィスゾーンなどを含めた地下3階~地上19階の複合ビルを作る。延べ床面積はビル全体で約6万4000平方メートル、パルコは地下1階~地上9階と10階の一部で、約4万2000平方メートル。7~9階の一部に入るパルコ劇場は来年3月にグランドオープンする。
「ターゲットは年齢、性別で区切らず、感性切り」とする。インバウンド(訪日外国人)の取り込みも狙い、売り上げ全体に占める比率を旧渋谷パルコの約2割から約3割に拡大する。
ファッションは旧渋谷パルコに比べて比率が若干下がるが、ジャンルを広げて約100店が入る。「世界に注目される東京ファッションの今を提案」する。
コムデギャルソンがレディス新業態とメンズ複合店を出店、「グランドワイ・ブラックスキャンダルヨウジヤマモト」(仮称)や「イッセイミヤケ」「ケンゾー」などのほか、「アンダーカバー」「アンリアレイジ」「ビューティフルピープル」など東京デザイナーを充実する。
さらに、1階に「グッチ」「ロエベ」「トムブラウン」をパルコとして初めて導入するなどして「ミレニアム世代の富裕層やインバウンドを取り込む」。日本のレディスブランドやセレクトショップも入る。3階と4階には次世代ファッションデザイナー・ブランドのインキュベーションを目的とした編集型売り場を作る。
7階の一部をレストランゾーン、地下1階の一部を立ち飲み居酒屋やパブなどのゾーンとし、飲食店を増やす。5階に店頭販売とECを連携させた11店で構成する約420平方メートルの売り場を開設するとともに、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)を活用した作品を展示する空間を設ける。
6階は「ニンテンドートウキョウ」「ポケモンセンターシブヤ」「刀剣乱舞万屋本舗」などを入れ、ゲームやアニメを主体とした「ジャパンカルチャーの発信基地」とする。美術専門誌『美術手帖』の初の直営店(2階)や『ほぼ日刊イトイ新聞』が4階と8階に別の店舗を出すなどギャラリー型店舗も増やす。
パルコ直営のパルコミュージアム(4階)、ギャラリーX(地下1階)が入る。エンタメではパルコ劇場のほか、パルコ直営のミニシアター「シネクイント」(8階)、ミュージックカフェ・バー「クアトロラボ」(地下1階)が出店する。
7階の一部には渋谷区と連動した育成施設を導入するなど、「街に貢献しながら、パルコの進化版を作る」(牧山浩三社長)。渋谷区が促進する「エンターテインメントシティ・シブヤのへそになりたい」という。