【専門店】ウェブノウハウ生かし新たなチャレンジ 独自のアプローチや品揃えで攻める
ブログで顧客の支持を広げてきたセレクトショップが異なる販売手法に着手したり、ウェブメディアを配信する企業が個性的な店を立ち上げるなど、新たなチャレンジが目立つ。ウェブ活用のノウハウや実績を生かし、他店とは違うアプローチや品揃えで、ファッション好きの要望をつかもうとしている。
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メディア目線で新しさや楽しさを
アールフォーディー
東京・神泉にある「RforD」(アールフォーディー)は、ファッションウェブメディア「ディードファッション」(近藤弘一編集長)が18年2月にオープンしたセレクトショップ。メディアで培った人脈やコンテンツ作りのノウハウを店の運営に生かしている。
ディードファッションが取り上げるのは、質は確かながら、販路が少なかったり、スタートしたばかりだったりで広く認知されていないブランドが中心。こうしたブランドの商品を実際に見て触れることができる場として店を開いた。国内の若手デザイナーブランドの服と雑貨を販売しており、約30ブランドを揃える。これらを多くの人に認知してもらうことが目的だ。
近藤さんにとって、「店の運営は、ウェブメディアのコンテンツ作りに近い感覚」だという。その言葉を象徴するのが、1カ月に約2回の頻度で開催する店内イベントだ。店に足を運んでもらうべく、これまでに期間限定店やファッションショー、合同受注会などを開催してきた。
昨秋に行ったファッションショーは、インスタグラムで一般人のモデルを募集、スタイリストの二宮ちえさんに扱いブランドの現行商品でコーディネートを組んでもらい、店内に設けたランウェーで披露した。客はショーで見た服をその場で買うことができる形式で、「イベントのなかでも反響が大きかった」という。

仕入れは〝買い取り〟が良しとされる傾向があるが、「買い取りは売れ筋に偏重し、店としての面白さが演出しづらい」という考えから、利益は薄いが委託形式を取っている。委託だからこそ柔軟にイベントを開催できる面もあるという。
店は京王井の頭線の渋谷駅から徒歩15分、神泉駅から5分という場所にあるものの、他店では見かけない珍しい商品が揃うため、近隣に住んでいたり、周辺の街を訪れる服好きが立ち寄る店として着実に成長している。「バルムング」「ダイレマ」「ナツミザマ」などが好評だという。
今後はディードファッションとの連動を強化するほか、イベントの精度を高めていく考えだ。

(繊研新聞19年2月21日付)