MDの目的って何?(佐藤正臣)

2016/07/27 00:00 更新


佐藤せんせの算数で極めるMDへの道②


 大手セレクトショップでMD(マーチャンダイザー)を務めていたマサ佐藤。バリバリと仕事をしていたマサだがその実、30代後半になるまで数値管理にはまったく疎(うと)く、本格的に始めたのは大手チェーン店に契約社員として入社した38歳になってからという。

 そこで鍛えられてフリーランスになったマサは、夜ごと、ホームである三軒茶屋界わいで、悩めるバイヤーやMDに講義を行っている。自称・三茶大学の先生であるマサ佐藤の20余回にわたる講義を覗いてみた。

■ 前回のレポートはこちら→数学は嫌いでも、算数はできるはず

 
*    *    *


 では問題です。あなたが仕入れた原価率35%の商品を30%オフした場合、粗利益率は何%になるでしょう?


え~いきなりそんな質問されたも難しいです。上司に「よく原価率抑えて」って言われますけど、マーチャンダイジング(以下MD)に粗利益率って何か関係あるんですか?


 良い質問ですね。それではまずMDの目的から考えてましょう。そもそも、MDの目的ってわかりますか?


とにかく売り上げを多くすることではないですか?


その解答は間違っていません。では改めてアパレル小売業の目的から説明しましょう。ここからはあくまで私の主観も入ってますので、ご了承ください。


へい。


 ……アパレル小売業の目的は、「(商品を通じて)お客様を産み出す」「お客様を創りだす」こと考えるべきでしょう。では「お客様を産み出す」ために、何が一番重要かと言えば、「お客様に商品を購入していただき、喜んでもらうこと。」です。とくに喜んでもらうことが重要だと言えます。


な~るほど。どんなにいい商品を作っても、お客様に購入してもらえなければ、意味がありませんね。ではなぜ喜んでもらうと良いのですか?


 喜んでもらえれば、また次の購買に繋がったり、噂が広まって更にお客様が増える可能性が高まりますよね。そうなると必然的に売り上げが増える可能性が高まります。ただ、あくまで企業ですから売上の中から、「利益」を上げることも重要です。


 ですねえ。


 「品揃え計画」であるMDの目的は売上を多くとることだけでなく、より多くの「粗利益」をとることも、重要な目的であるといえます。


 なんとなくは理解できましたが、そもそも粗利益って何ですか?そもそもMDの仕事とどういう関わりがあるのですか?


 漢字の「粗」を訓読みすると「あら」。意味としては「大雑把な・おおまかな」等の意味です。ということは、単純に売り上げから(仕入)売上原価を引いたものになります。売上原価の詳しい内容は次回以降に説明します。


 ほぼほぼ理解できました。ではMDに粗利益はどう関係があるのですか?


密接に関係あるこそ、冒頭の問題を出したのです。次回は問題の解答をください。より、MDの数値を理解してもらうために、MDの仕事・役割について話していきます。次回までに頑張って問題を解いてみてくださいね。


 はい。わかりました。頑張りまーす。



95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、
様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。
現在、多方面で活躍中
www.msmd.jp



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