MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》㊱(佐藤正臣)

2024/02/21 06:00 更新


(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?

9. 売上構成比と売場の見た目構成比と在庫構成比③

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今回もよろしくお願いいたします。まずは、前回の講義を振り返りましょう!



よろしくお願いいたします。



前回の講義で、(あるカテゴリーの)売上構成比と(あるカテゴリーの)売り場の見た目の構成比が一致することが、マーチャンダイジング(以下MD)にとって理想であるとお話ししました。



そして、せんせが先述したことをショップのVMDに活用してほしい!ということでしたね。



Dさん、補足ありがとうございます。しかし、(あるカテゴリーの)売り場の見た目構成比を見極めることは、感覚的な要素が強まり、ショップで判断することが難しいともお伝えしました。



ですから、(あるカテゴリーの)売り場の見た目構成比を見極める判断材料として、(あるカテゴリーの)在庫構成比を活用すると良いよというお話でしたね。



Dさん、またまた補足ありがとうございます。

在庫構成比の計算式は、前回の記事をご覧になって頂きたいのですが、(あるカテゴリーの)売上構成比と(あるカテゴリーの)売り場の見た目構成が一致することが理想ということは、(あるカテゴリーの)売上構成比と(あるカテゴリーの)在庫構成比が一致することが理想である!と置き換えることができます。このことを、ショップのVMDに活用していきましょう!



なるほどです!



例えば、Tさんのショップのブラウスというカテゴリーの売上構成比が20%だった場合、在庫構成比が20%になっているのが理想的だといえます。しかし、売上構成比が20%で在庫構成比が30%だった場合、ブラウスの在庫は多いですか?少ないですか?Tさんお答えください!



間違いなく多いです。



Tさん、正解です。ブラウスの在庫が多い状態で、ショップの商品陳列を行えば、売り場の見た目構成比は、どうなる可能性が高いですか?



私ならば、ブラウスの在庫を減らそうとして商品を陳列しますので、ショップの売り場の見た目構成比は20%以上になる可能性が高いですね。もちろん、ブラウスの売上が上がるように商品陳列は行いますが…。



私がTさんの上司だったならば、以下の指示を出します。

「売れないブラウスは、無理して店頭展開せずに、売り場の見た目構成比が20%になるくらいの商品陳列を心がけてください!」



せんせ、それは売れない商品は店頭から下げても構わないということですか?



はい、その通りです。何故なら、ブラウスの売上構成比<ブラウスの在庫構成比の状態ということは、Tさんが先述したように、ブラウスが在庫過多の状態と捉えることができます。

私の専門であるMDの側面から見ると、MDが考えた以上に、ブラウスの品揃えはお客様に支持を得られなかったと捉えることができます。ですからその場合は、ブラウスの売上構成比以上に、売り場の見た目構成比を拡げてしまっては、お客様のニーズに応えることにはなっておらず、ショップ全体の売上が下がる可能性が高まります。



なるほどです!



ですので、今回のケースでいえば、ブラウスの売上構成比<ブラウスの在庫構成比の状態になっていた場合、ショップは無理をしてブラウスの売り場を拡げることはせずに、ブラウスの売上構成比と在庫構成比をしっかりと確認して、売上構成比=売り場の見た目構成比になるように、ショップのVMDを調整いただければと存じます。



せんせ、例えば、ブラウスの売上構成比が20%で在庫構成比が10%だった場合は、ブラウスの売り場の見た目構成比が20%になるよう、ショップで工夫しろ!ということですね。



Dさん流石です、その通りです。Dさんが言われたケースの場合は、明らかに売れ筋商品が足りなくなっているケースが多いのですが、同じ商品の2点出しなどでカバーできるのならば、ショップで対応して頂きたいところです。本音をいえば、MDの方々がそのような状態にならないように努力してほしいところですが…。



弊社では、そのような状態にならないように私自身も努力いたします。



最後に、これまで私が述べたことには例外もあります。Tさんに質問です。防寒アウターというカテゴリーあったとします。44週(10月末)で防寒アウターの売上構成比<在庫構成比になっていた場合、防寒アウターの売り場の見た目構成比を、売上構成比に合わせるべきでしょうか?



私ならば、売上構成比に合わせます。



昨今は暖冬の場合が多いので、Tさんの回答は必ずしも間違いではないのですが、44週という時期は、防寒アウターの売りはじめの時期で、MDが意図的に売上構成比<在庫構成比の状態にしています。

ですからこの場合は、売上構成比以上の売り場の見た目構成比にしても構いません。むしろ、本部からそのような指示が出るかもしれませんから、一概に売上構成比=売り場の見た目構成比にする必要はありません。



なるほどです!



またその逆のパターンで、4週(1月末)の場合は、防寒アウターの売上構成比>在庫構成比となるように、MDが意図しています。その場合は売り場の見た目構成比は、在庫構成比に合わせて、防寒アウターの売り場の見た目構成比を縮小する必要があるでしょう。




すごく勉強になります!今回学んだことをショップ運営に、すぐに活用したいと思います。



とはいいつつも、今回私が述べたことは絶対ではありませんが、ショップのカテゴリー別売上構成比や在庫構成比をチェックしておくことは重要です。今回の講義をきっかけに、読者の皆様方が興味を持っていただければ嬉しく思います。

ということで、今回の講義は終了です。次回は、売れ筋商品の在庫について考えてみます。



では、皆さん。次回もお楽しみに!


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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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