MDが使う「算数」をショップ運営に役立てよう!《第3講》㊴(佐藤正臣)

2024/04/03 06:00 更新


(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?

10.売れ筋商品の立ち位置を具体的に把握するには?③

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今回の講義は、どのくらいのペースで売れると売れ筋商品と言えるのか?を考えていきます。Dさん、Tさん、よろしくお願いいたします。



よろしくお願いいたします。



ではまず、Tさんに質問です。Tさんのショップでは、1週間でどのくらい点数が売れると、売れ筋商品であると判断しますか?



売上のランキング上位な商品を、売れ筋商品と判断していますが、具体的に何点なのかは、これまであまり考えたことはありません。



以前の私も同様でした。しかし、売れ筋商品を活用してショップの目標設定を行うには、ショップでどのくらいのペースで売れると売れ筋商品と言えるのか?把握しておく必要があります。以前の講義でもお伝えしたように、MDの発注数量が多い商品ほど、売れ筋商品となりうる期待をされている商品です。

ということで、架空の組織を例にあげ、売れ筋商品の売れるペースについて考えてみます。以下が架空の組織の特徴と売れ筋商品の設定です。

  • 50店舗展開(EC売上構成比30%)のアパレル小売の組織(※今回は店舗間の売上格差は殆どないとこととする)
  • この組織の曜日別売上構成比は、平日の1日あたりの売上構成比は10%、土日1日あたりの売上構成比は25%
  • この組織のMDが一番数量を多く発注したのは商品A。販売期間は2か月、初回発注数量は8000点
  • 商品Aの元売価は9000円。リードタイム2か月で追加発注できない

Tさん、以上の設定を把握できましたか?



はい、メモしました。



では、この商品Aがショップ1店舗あたりで売れるペースを考えてみましょう。上記の設定から、1店舗当たりのショップの売上期待?数量を割り出してみます。

8,000点×(1-30%)=5,600点(実店舗の必要商品数)

→5,600点÷50店舗=112点(1店舗当たりのショップの売上期待数量)

となり、この売れ筋商品となることを期待されている商品Aの、1店舗あたりの売上期待?数量は112点となります。

では、Tさん、商品Aの1週間あたりの売上数量を算出してみてください。



はい、承知いたしました!

(112点÷61日)×7日=約13点(1週あたりの平均売上数)

1週間で約13点の売上を期待されている!でしょうか?



素晴らしい!Tさん、正解です。では、上述した設定にある曜日別売上構成比を活用して、平日と土日それぞれの売上点数を算出してみてください!



承知いたしました!

→13点×10%(平日1日あたりの平均売上構成比)=約1.3点

→13点×25%(土日1日あたりの平均売上構成比)=約3.2点

平日1日あたりの売上数量は約1.3点。土日1日あたりの売上数量は約3.2点でしょうか?



ブラボー!正解です。

MDが一番多い点数を発注した商品Aは、Tさんが行ったように数字を分解して考えれば、平日1日あたりで約1.3点。土日1日あたりで約3.2点のペースで売れれば、売れ筋商品と認定される!と捉えることができます。

要は、発注数量の一番多い商品Aを、数量を具体的に分解することで、ショップの商品の目標が立案しやすくなる!さらにショップの在庫の持ち方にも繋がる!ということになります。



なるほどです!



今回の例は、商品の売りはじめと売り終わりの売れるペースを加味しておりませんが、実際は、商品の売りはじめと売り終わりでは、売れる数量にだいぶ差異が生じることが殆どです(特にレディースブランド等)。しかし、基本的には今回Tさんが行った計算方法で、1日あたりの売上数量を算出してみると良いと思います。



承知いたしました。



ということで、今回の講義はここで終了です。次回は、今回の講義の設定を引継ぎ、商品Aを活用して売れ筋商品の目標設定を行いたいと思います。



(今回は出番が全くなかった)



では、皆さん。次回もお楽しみに!


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佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp



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