(第3項)ショップの在庫は足りないの?多いの?
10.売れ筋商品の立ち位置を具体的に把握するには?④
今回は、実際に商品を活用したショップの目標設定を行います。Dさん、Tさん、よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
売れ筋商品の設定は、前回の講義で使用したものを引き続き活用します。以下が架空の組織の特徴と売れ筋商品の設定です。
- 50店舗展開(EC売上構成比30%)のアパレル小売の組織。(*今回は店舗間の売上格差は殆どないということに致します)
- この組織の曜日別売上構成比は、平日の1日あたりの売上構成比は10%。土日1日あたりの売上構成比は25%。
- この組織のMDが一番数量を多く発注した商品A。販売期間2か月。初回発注数量は8000点。
- 商品Aの元売価は9000円。リードタイム2か月で追加発注できない。
前回の講義で、商品Aのショップ1店舗あたりに売れるペースはどのくらいか考えましたが、Tさん、覚えていますか?
はい。商品Aのショップ1店舗あたりに売れるペースは、
→8,000点×(1-30%)=5,600点(実店舗の必要商品数)
→5,600点÷50店舗=112点(1店舗当たりのショップの売上期待数量)
→(112点÷61日)×7日=約13点(1週あたりの平均売上数)
→13点×10%(平日1日あたりの平均売上構成比)=約1.3点
→13点×25%(土日1日あたりの平均売上構成比)=約3.2点
平日1日あたりの売上数量は約1.3点。土日1日あたりの売上数量は約3.2点となります。
素晴らしいです。正解です。
ということで、今回はショップの週間売上予算を追加設定します。架空のショップAの週間売上予算は以下の通りです。
- ショップAの週間売上予算は200万円
せんせ、細かい設定ありがとうございます。この設定から、ショップの業務分掌ごとの目標設定を行うのですね?
流石Dさん、その通りです。では今回は、DさんがショップAの目標設定を考えてみてください!
承知いたしました!
Dさん、素晴らしい見本よろしくお願いいたします。
まずは、商品Aの数字目標を改めて確認します。
商品A週間での売上目標数は、Tさんが計算してくれた約13点となります。ということは?
→9000円(商品Aの元売価)×13点≒117,000円(商品Aの売上金額目標)
→117000円÷200万円(ショップAの週間売上予算)=5.9%
となります。まずショップメンバーには、
「商品Aを13点売る!という目標を達成するだけで、ショップの週間予算の6%は達成できるのよ~!」
「週間予算を達成するのは、高いハードルではないでしょ!」
という意識付けを行います。
なるほどです!
そして、ショップ業務分掌ごとに具体的な目標を設定します。今回目標設定を行うショップ業務は、VMDと在庫管理です。
まずは、VMDの目標設定です。
【VMDの目標設定】
商品AをVPに配置。わかりやすいDPを作成するだけでなく、毎日ショップの誰かに商品Aを着用してもらう。
さらに言えば、SNSやブログで商品Aを使用したコーディネートを発信するなどもしたいですね。
なるほどです!
次は、在庫管理業務の目標です。
【在庫管理業務の目標】
ディストリビューター(以下DB)と連携を取り、平日はできれば在庫3点(1日平均売上数1.3点のため)土日は在庫5点(1日平均売上3点)、確保できるように行動する!
更に目標よりも売上ペースが早ければ、DBと連携をとりショップの基礎在庫を積み増ししてもらう。出来れば、水曜日くらいまでに判断するようにする。
簡単にはなりますが、このような目標設定をおこないます。
Dさん、ありがとうございます。私も早速明日から、Dさんを見習い商品の目標設定・管理を実践します。
Dさん、突然お願いしたにもかかわらず、売れ筋商品を活用したショップの目標設定をしていただき、ありがとうございます。
ということで、今回の講義の重要なポイントは、
売れ筋商品の売上を分解し、売れるペースを把握することで、ショップの目標設定・管理に活用できる。そのことで、スタッフの(目標達成への)“やる気”を引き出すことが重要である!
こちらを意識していただければ、嬉しく存じます。
ということで、次回の講義が最終回です!最終回は、販売の仕事の重用性・素晴らしさをお伝えします。
いよいよ最終回なのですね。とても感慨深いです。
では、皆さん。次回もお楽しみに!
佐藤正臣 95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。10年よりフリーランスとして活動開始。シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。現在、多方面で活躍中。www.msmd.jp