佐藤せんせの算数で極めるMDへの道①
大手セレクトショップでMD(マーチャンダイザー)を務めていたマサ佐藤。バリバリと仕事をしていたマサだがその実、30代後半になるまで数値管理にはまったく疎(うと)く、本格的に始めたのは大手チェーン店に契約社員として入社した38歳になってからという。
そこで鍛えられてフリーランスになったマサは、夜ごと、ホームである三軒茶屋界わいで、悩めるバイヤーやMDに講義を行っている。自称・三茶大学の先生であるマサ佐藤の20余回にわたる講義を覗いてみた。
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第1講 数学は嫌いでも、算数はできるはず
マサ佐藤(右)と生徒のバイヤーD
M:はじめまして。このたび「MDと数字」をテーマに講義を始めることになりました。エムズ商品計画のマサ佐藤と申します。
D:はじめまして。私は現在、10店舗あるレディースのお店のバイヤーをやっているDです。今回、先生に数値MDについて学ぶことになりました。
M:まずは今回この連載を始めるにあたって私自身の簡単な紹介と、どういう内容なのかの説明をさせてもらいます。
私は数学が嫌いでした。小学校の算数まではなんとかクリアできましたが、中学に入り数学へと進む過程で一気に数字が嫌いになりました。だから、高校からは文系を志望し、ふと気づくとファッション業界に身を置いていました。
ファッション業界に籍を置いている人のなかで、数字が好きな人は少数派になるのではないでしょうか。実際私もそのような人にあまり会ったことはありません。
しかしながら、ファッション業界で働いてお金をもらっているということは、ファッション「ビジネス」に従事しているということ。ビジネスということは、当然お金が発生し、そして数字というものが必ず付きまといます。
この業界には、とかく数字を嫌う人や逃げる人が多いです。私もそんな1人でした。小売業の中では数値管理は一番立ち遅れているといっても過言ではなく、業界の多くを占める中小規模の会社などはとくにその傾向にあります。
D:なんとなく、わかる気がします。
M:私は物流倉庫のバイトから販売を経て、MDになりました。ただし、MDになったといっても実際に行っていたのは、商品面のことばかり。MD数値に関しては大した知識もなく、ただただ自信過剰で勢いと気合だけで業務を行ってました。
D:えっ?そうだったんですね。
M:実際に私が本格的にMDの数値面に関して勉強し始めたのは38歳からです(現在43歳)。歳をとって新しいことを学ぼうとすると、色んなものが邪魔をして覚えが悪く、おっさんなのに毎日叱られ、心が折れそうになることもありました。
D:意外に苦労されてるんですね。
M:今後この連載では、そんな出来の悪い私が、MD数値の基礎・本質的な部分を誰でも理解できるよう、わかりやすく噛み砕いて書き綴っていきたいと思います。小学校6年レベルの算数以上のことは出てきません。MD数値の話を、構えるのではなく、気軽に楽しく学んでもらえればうれしくおもいます。
D:私にもなんとなくですが出来るような気がしてきました。頑張りまーす。
M:では次回をお楽しみに。
95年(株)ノーリーズにアルバイトとして物流倉庫からスタートし、店頭勤務7年(レディース)。
02年より(株)ノーリーズにおいてメンズ(フレディ&グロスター・ノーリーズメンズ)立上をMDとして担当。
10年よりフリーランスとして活動開始。
シャツメーカーの新ブランド開発の企画サポート。
その他、新規ブランドの立上マーチャンダイジング計画など、
様々なフィールドで活躍したのち、14年5月末、株式会社エムズ商品計画を設立。
小売り企業へのMDアドバイスや専門学校での講義・また海外での講義等。
現在、多方面で活躍中
www.msmd.jp