サマンサタバサジャパンリミテッド(米田幸正社長)は、宮城県南三陸町の震災復興のための放牧事業羊肉ブランド「南三陸わかめ羊」などと協業する。廃棄していた羊の革を活用、レザー製品作りを始める。
南三陸わかめ羊は、東日本大震災の復興支援のため、NPO法人(特定非営利活動法人)さとうみファーム(金藤克也代表理事)が立ち上げた食肉用の羊放牧事業。海藻で飼育したニュージーランドの羊は臭みが抑えられるという話題にヒントを得た。南三陸で取れるワカメの食用部分を除き廃棄されている茎を、乾草や飼料に配合して発酵させ、羊に与えることで臭みがなくミネラルが豊富な羊肉を作っている。
米田社長が今春、テレビ番組でこのわかめ羊の牧場を見たことが、協業のきっかけ。食肉加工後に残った皮の処理に着目し、すぐに金藤氏に連絡をとった。廃棄に困っていた皮をレザー製品に活用したいと提案し、組むことが決まった。
羊の皮は通常、臭みが強いため革への加工が難しいが、わかめ羊は皮も臭いが抑えられ、臭みのない革に仕上げやすい利点がある。現在、試験的になめして革に仕上げたところだ。
同社は今年から物作りで日本の工芸技術を活用するため京友禅の千總とパートナーを組んでいる。わかめ羊の協業の最中に、南三陸町の震災後初の成人式に千總が振袖を提供していると知り、千總も協業に参画することになった。
すでに企画の準備に入っており、「サマンサタバサ」などに採用し、上質品の拡充につなげる。革と千總の西陣織とを合わせた企画にも取り組み、来春には企画を公表する予定。
さとうみファームが飼育している羊は約220頭。今後、南三陸町の協力で街に近い場所に広い牧場地の提供を受け、飼育数を1000頭前後まで増やす。革を確保できる量も徐々に増えるため、同社とさとうみファーム、南三陸町の3者協業企画としてアピールしていく。