タオルメーカー、ろ七タオル(大阪府貝塚市、田端純一郎社長)は、メンズセレクトショップのチェント・トレンタ(大阪市)と協業したバスローブを今春に企画した。4万円の価格にもかかわらず、約3週間で30枚をほぼ完売した。タオル地を生かしたオリジナル衣料の第1弾となる。これを機にオリジナルブランドの強化や新たな販路の開拓を進めていく。
同社は1935年、現社長の祖父である田端七治郎氏が漁業から転身して大阪府泉佐野市で創業した。漁船の象徴である「ろ」(櫓)と自身の名前から取った「七」を組み合わせて社名としたものだ。現在、貝塚の本社工場にはレピア織機18台のほか、縫製設備一式などを持つ。
商品構成比はフェイスタオルやバスタオルが85%、バスマットが15%。かねてから量より質の経営を重視し、卸問屋以外に高級ホテル向けなどで実績を積んできた。
ただ、コロナ禍でホテル向けの需要は縮小、原燃料や電気料金の高騰からOEM(相手先ブランドによる生産)も厳しさを増すなか、物作りの強みを生かしたオリジナル商品を開発したいと考えた。
イタリアのファッションに関心の強かった田端悠暉常務がプロジェクトを主導する。インスタグラムでフォローしていたチェント・トレンタの加藤効代表に「一緒に商品を企画したい。一か八かという思いで連絡した」。快諾を得て、協業商品の企画、チェント・トレンタのショップでの販売が具体化した。
バスローブは、高級ホテル向け専用に運用していた織機を使い、タオル地で培ってきたノウハウを投入。枯山水の織り柄を浮かび上がらせた、鮮やかな緑のバスローブが完成した。チェント・トレンタとろ七タオルのダブルネームで企画し、縫製は池田商店(大阪市)が協力した。同様の取り組みによる第2弾の商品も企画中だ。
「これを機にタオル地を活用した様々なオリジナル商品に挑戦していきたい。2、3年後をめどにピッティ・イマージネ・ウォモなどへ出展し海外市場の開拓ができれば」と期待する。
(繊研新聞本紙23年9月6日付)