米ラルフローレン、50閉店 8%人員削減

2016/06/08 15:07 更新


 【ニューヨーク=杉本佳子通信員】ラルフローレン社は投資家向け説明会を開催し、売り上げが低迷し、在庫過剰になっていることから、約50店舗を閉店し、フルタイムの従業員を8%削減するリストラ策を発表した。16年度と17年度合わせて人件費2億4千万ドル、不動産7千万ドル、販売管理費を年間14%削減するなどでその他1億3500万ドル、計4億4500万ドルの削減を見込む。

 ステファン・ラーソンCEO(最高経営責任者)兼社長は6カ月前に就任してからブランドの強みを検証し、「コアブランドの強みに十分力を入れていない」「現在の経営では在庫過剰を招く」ことに気付いたと説明した。この結果、業績の大部分を占める「ラルフローレン」「ポロ」「ローレン」の3つのブランドが生み出す「クラシックでアイコン的なスタイル」に力を入れていく。同社長は、オンラインショッピングで提供すべき経験や利便性についても現状に不満をもっていること、実店舗でもっとエキサイティングな環境をつくる必要性を感じていることを明言した。一方で、ニューヨークのレストラン「ポロバー」は非常に成功しているという。

 ものづくりでは、現在の平均リードタイム15カ月が需要と供給のミスマッチを生み、過去3年間、在庫は26%増えたという。今後は、リードタイムを9カ月に短縮し、8週間試験的に売るシステムを導入し、需要を確認しながら在庫を計画する。仕入先も品質、価格、スピード、融通性において最高な取引先という目で見直す模様だ。

 人事では、ブランドプレジデントのヴァレリー・ハーマン氏の役割を拡大する。ハーマン氏は、イブサンローランのCEOとクリスチャンディオールのウイメンズ既製服の責任者を務めた経験をもつ。加えて、H&Mのサプライチェーンで18年間の経験を積んだハリデ・アラゴズ氏をグローバルソーシングの責任者に、H&Mのグローバル市場拡大において7年間成果をあげたフレデリック・ハルマーズ氏をグローバル拡大の責任者に、イーベイファッションのゼネラルマネジャーを4年務めたマーセル・パリッシ氏をイーコマース北米部門の責任者として迎えた。

 ラルフローレン社は、17年度の売上高は2桁台の前半で減少し、営業利益率は約10%になると計画。18年度は経営が安定し、19年度により利益の出る体制が整い、20年度は市場シェアを高めて営業利益率を10%台半ばにすることを目指すという。



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