広島市内にあるメンズ主力のセレクトショップ「トランジットスクエア」(会社名はファーストインプレッション)は昨年8月、フレグランスや生活雑貨を提案する「セカンドコンセプト」を統合する形で移転・増床し、売り上げを順調に伸ばしている。25~35歳の男性をメインターゲットに、品揃えの感度だけでなく、一歩踏み込んだ接客を心掛け、支持を広げている。
(小畔能貴)
統合し広さ3倍に
同店は13年にインポート主体のセレクト店としてスタート。コロナ禍を経て、現在は国内ブランドを中心とした品揃えに変えている。21年後半にフレグランスなどライフスタイル雑貨を扱うセカンドコンセプトも開設した。
最初の店が10年を迎えて改装を検討していた頃に、広島市内で路面店の空き物件がちょうど見つかったことから、2店を一つにする形で移転を決めた。現在の店は132平方メートル。移転前のトランジットスクエアに比べて3倍弱の広さになった。
主なアパレルブランドは「バンデル」「ムータ・マリン」「リサウンド・クロージング」「TFW49」など。街中やゴルフなど様々な生活シーンで楽しめる服を中心に提案している。ライフスタイル雑貨はディフューザー、スキンケア、洗濯洗剤、衣類スチーマー、毛玉取りなどの個性的なアイテムを多彩にセレクトしている。

情報が得られる店
売り上げはアパレルが8割、雑貨が2割ほどを占める。男性客が中心だが、カップルで来店してゴルフウェアやライフスタイル雑貨を楽しむ女性もいる。平均客単価は約5万8000円。移転前のトランジットスクエアは年商1億円で推移していたが、現在はそれを上回り、「イメージしていた数字に近づいている」(稲住慶太取締役)と言う。
その原動力となっているのが、アパレルメーカーの直営店で活躍していた見谷祐佳代表の接客力だ。インスタグラムで意欲的に発信し、来店客にはこの服を具体的にどんな場面で着用すべきかまで踏み込んだ提案を重視している。こうすることで「この店に行けば、役に立つ新しい情報が手に入る」と認識してもらうことを目指している。
2店を一つにすることで新たに気付いたこともある。「若い男性が服だけでなく、スキンケアやディフューザーに興味があって購入する」(見谷代表)ことだ。「今の若い男性はお金の使い方が女性的。かつては承認欲求のツールとして服が強かったが、別のところで満たされているのでは」とも感じている。
今後は「せっかくの路面店なので、イベントをもっと仕掛けるなど来店動機を増やしたい」(稲住取締役)と言う。「例えばブランドの新作受注会を実施していることを入り口でもっとアピールするなど工夫していきたい」としている。