国際ファッション専門職大学の学生が、授業の一環として生成AI(人工知能)を使った商品企画に取り組んだ。絵が描けない学生もプロンプト(指示文)を工夫してデザイン、テキストとともに企画案として提出。優秀3作品は製品化し、DtoC(消費者直販)ブランドの「ワンドロップ」のサイトで販売している。
昨年7、8月に開催した3日間の集中講義「デジタルアーカイブ論」に出席した学生が実際に生成AIに触れた。90分の授業を1日5コマ×3日間の長丁場で、1日のうち、前半のクラスで座学、後半に実際に触り、最終コマで発表という内容。
生成AIは、ワールドグループのオープンファッション(東京)が提供する「メゾンAI」を使った。テーマは、yuhilo(東京)が運営するワンドロップのサイトでの販売目的と設定。自由なクリエイションではなく、ビジネス目的の企画案という枠を決めた。言わば、仮想のクライアントワークを課した。
60件ほど提出された企画案から三つを優秀作品として選んだ。大久保美侑さん(20)は、トレンド分析の段階からAIを使い、図案データを仕上げた。「根拠のあるデザイン」が必要と考えたからだ。
一方の興野愛佳さん(20)は、自分の身の回りからはやり言葉を拾い、AIと自分の感覚を掛け合わせたという。「その方が面白いかな、って」。両人とも思ったようなデザインにならず苦労したというが、仕上がった製品を前に「すごい」と感心していた。
特別講義は同校の学生なら誰でも参加できるため、クリエイションを得手としないファッションビジネス学科の学生も参加した。絵が描けなくても、ビジュアルの表現も添えて説得力のある企画に仕上げた。講義を担当したニューロープ代表の酒井聡准教授は「デザインが描ける学生も生成AIを使うことで、自分の発想の枠外も広く参照できるのが分かったと思う」と話し、生成AIの有用性を評価している。