岡山・児島発の国産ジーンズカジュアルブランド「TCBジーンズ」を手掛けるTCB(岡山県倉敷市、井上一代表)が元気だ。SNSでファンを増やし、特に輸出を拡大して24年12月期の売上高は前期比50%増だった。今期も輸出がけん引し、増収ペースで推移している。
(小畔能貴)
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井上代表は08年に縫製工場を設けて物作りを始め、12年にTCBジーンズを立ち上げた。別注のセルビッジデニムを使い、自社工場を活用して細部まで作り込んだデニムアイテムを強みにしている。

18年には直営店を開設。はき込んで様々な表情に育ったTCBジーンズなどのアイテムとともに、新品の自社製品を販売している。下のフロアに工場があるため、実際に物作りしている風景を見たり、雰囲気を味わえる場所でもある。「オープン当初は週末や休日を中心に来店があったが、今は変わった。平日もインバウンドを含め客足が伸びている」。前期は輸出だけでなく、直営店の売り上げも伸びた。

輸出や直営店が伸びたのは、SNSの効果が大きい。「産地だから見せられる光景」を強く意識し、商品に加え、製造過程を投稿している。自社工場だけでなく、協力関係にある取引先の物作りの様子も発信している。

インスタグラムのフォロワーは7万人以上で、海外が4割近くを占めている。「ジーンズをはじめとしたデニムアイテムは、シーズン性に強く左右されずに売れる側面もある」。そのうえ、拠点としている児島は世界的に有名なジーンズ産地でもある。
これらの特性を生かし、「バイヤーに来日してここを訪れてもらえるように促し、商談・受注して輸出先・金額を増やしてきた。コロナ禍以降、海外展には出ていない」という。
今期も引き続き、輸出や直営店が好調に推移している。売り上げは国内が7割、海外が3割。「輸出の実績を積み上げれば、国内売り上げも卸を含めてついてくるイメージ。今後も両輪をバランス良く伸ばしたい」と話す。