【変わる素材見本市の役割】PVパリ20~21年秋冬㊤

2019/10/13 06:30 更新


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開催時期の重み増す

 仏プルミエール・ヴィジョン(PV)パリが9月19日閉幕し、20~21年秋冬向けの欧州素材見本市が一巡した。高級服地はこの数年、生産サイクルや流通構造の多様化に伴い、年2回の見本市だけでは、ブランドのニーズや商談のタイミングを捉えきれなくなってきた。衣料消費の世界的な冷え込みもあり、出展戦略を見直す企業も出始めた。

(橋口侑佳)

 生地をはじめ、糸、レザー、プリント図案など六つの見本市で構成するPVパリ20~21年秋冬は、48カ国・地域の2056社が出展した。うち、中核のPVファブリックは811社で、前年9月展より9社増えた。世界で最も影響力のある素材見本市として規模を拡大するが、一方で「このタイミングでは遅すぎる」という不満も大きくなっている。ラグジュアリーブランドを中心に、欧州ブランドの生地選定が早まっているからだ。

 秋冬向けは、欧州がバカンスに入る8月までに選び終える傾向で、既存顧客は7月中に訪問し、大方の受注を終えている。ブランドの経費削減も重なり、「この数シーズン、ラグジュアリーブランドのデザイナーや素材調達担当者の来場が減っている」(出展者)のは明らかだ。

約120カ国・地域から約6万人が来場するPVパリ(新村真理写す)

■プレ展に長蛇の列

 PVは受け皿として3年前、本展より2カ月早いプレ展を立ち上げたが、出展者を約120社に限定しているため、順番待ちに長蛇の列ができている。

 他方で、伊ミラノウニカ(MU)への注目度が高まっている。MUは17年、本展の会期を7月に変更した。それまではPVパリの前の週で定着していたため、会期が離れることで、客足が落ちることも懸念されたが、結果的に奏功した。

 唯一、伊ビエラ産地の毛織物メーカーが一堂に集まる展示会ということもあり、メンズ向けのイメージが強かったが、この数シーズンは「レディスの来場者も増えている印象」(ユーロジャージー)。来場者も「米国や中国、日本など国際色豊か」になり、8割を占めていたイタリア人バイヤーの比率は6割に下がった。

■ECに先行投資

 見本市だけでは限界が見え始めた顧客接点の拡大へ、PVパリが力を入れるのが、BtoB(企業間取引)デジタルプラットフォーム「PVマーケットプレイス」だ。出展者は、企業プロフィルと素材カタログによる「デジタルブース」を開設し、バイヤーは時間や場所を問わず、新たなサプライヤーの開拓やサンプルリクエスト、新作情報が取得できる。出展者とバイヤーとの接点を継ぎ目なく結ぶことで、生産サイクルやニーズの変化に対応する。

 当初、出展者からは懐疑的な見方が大勢を占めたが、ファッションECの急速な普及に今後のオンライン取引の拡大を見て、少しずつ利用する企業が増えてきた。

(繊研新聞本紙19年9月27日付)


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