オムニチャネル進捗を読む② 購買機会をつなぐ整備

2017/12/29 17:00 更新


《連載 オムニチャネル進捗を読む 16年度ECアンケートから②》今期の課題 購買機会をつなぐ点と面の整備

 ファッション企業各社が今期強化するEC施策は、客とのつながりの強化が軸だ。「社内EC体制の整備」「サイトの整備、利便性、スマートフォン閲覧対応」を継続し、ブランド資産・店舗スタッフを生かした「ファン向けコンテンツを整備」、「1to1マーケティング」へつなげようという企業が増えている。オムニチャネル施策は第3、4フェーズまできた。

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在庫はECの役割

 EC売り上げを決める最重要課題は、「在庫」。サイト訪問者は在庫がないと分かると、すぐに他サイトへ離れる。その対策が「社内EC体制整備や意思統一」に表れている。以前は追加発注の素早い判断が重要だったが、ここにきて初回の発注数をリスクを持って生産。各販路に在庫を機動的に回す企業が売り上げを伸ばした。これを可能にするのは組織横断でのデータ共有と意思疎通だ。EC運営が購買・行動データと仮説を持ち、企画・生産担当と連携して在庫を切らさないことが客の信頼を左右する。

 半面で「在庫を残さない」もテーマになった。予約販売方式が数量予測に最適だが、8~9割を占める店舗・EC同時販売の商品で、数量予測が可能なことがEC側の大きな役割になる。

 データ収集と分析には顧客情報一元化が視野に入るが、まずはECで取れるデータ分析に本格的に着手し、個客の要望を押さえ、需要予測につなげられれば収益が変わる。

ファンを育てる

 消費者は、興味・関心のあるモノ・コトをスマホで検索することが日常化し、賢く商品を選択する。さらに、スマホに「パーソナルな情報」が来ることも望み、ECサイトに独自の読み物やコンテンツを求めている。商品の背景やストーリー、店舗スタッフによる思いなどが顧客との結びつきを求める動きだ。

 自社ブランドのコンテンツ配信やSNS(交流サイト)の強化は、長くつながってもらえる自社ブランドファンを育て、接触時間を増やし、購買金額を高める。ECサイトの整備が「点の強化」ならば、顧客やファンとの接触時間という「面の拡大」となり、この掛け合わせが購買金額を高める。



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