【新年特別号】平成のキーワード ライフスタイル

2019/01/14 06:30 更新


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 「ライフスタイル型」と呼ばれる店やブランドは、その源流は80年代初頭にさかのぼる。ファッションビジネスのあり方に少なからず影響を与えた二つに「無印良品」と「アフタヌーンティー」がある。

おしゃれ雑貨手頃に

 アフタヌーンティーは、サザビー(現サザビーリーグ)が81年に1号店を出した生活雑貨の店だ。同社の創業者、鈴木陸三氏は、当時を「食器などの生活雑貨は高いブランド品と安いものの2択で、しゃれていて、手が届く値段のモノがなかった時代」と振り返る。

 「商品作り、仕入れ、店の内装も自前で、従業員にはとにかくお客さんに売り込まない、ゆっくり見てもらう、を徹底した」。カフェを併設し、「何も買わなくても、そこで時間を過ごすために人がやってくるならそれでもいい」。店舗には売り物の商品とは別に絵なども飾ったこともあった。

 店で買った雑貨を自分たちの生活にどうやってなじませるのか。来店客は「モノを見て、ついでに、あ、これはこう置くのか、こう使うのか、そういうヒントを店で買い物しながら知ることができた。それまでにはなかった店のあり方だった。「それが新鮮だったのか、店は当たりました」。

アフタヌーンティーは雑貨の使い方を伝える店作りで人気を集めた

 80年代、日本の消費者は急速にファッションへの興味関心を深めていった。服装を気にかけるのと同じように消費者は、生活空間もおしゃれにしたいはず。そのことに気付き、実践した店が、日本のライフスタイルショップのはしりとなった。

 無印良品が83年、青山に1号店を出した際、掲げたのは「生活者の自由を確保せよ」。商売っ気をそぎ落とし、デザインで付加価値を加えず、品質と機能を残して商品を売ることを徹底した。一方、アフタヌーンティーは当時サザビーリーグが運営していたフレンチカジュアルの「アニエスべー」と一体で出店するスタイルで一世を風靡(ふうび)した。

世界共通の心地良さ

 00年代以降、SCの開業増で出店立地が拡大すると、服だけを売る店は競合他社との差別化が難しくなり、「ライフスタイル型」の店は増えた。リーマンショック以降、低価格訴求の流れが生活雑貨を売る店にも広がり、海外からイケアが、国内勢ではニトリが台頭した。

 ライフスタイルショップのファストファッション化は進んだが、無印良品はその後も成長を続けた。特に近年は海外で成長しており、すでに売上高の4割が海外での商売だ。インバウンド(訪日外国人)の増加に伴い、日本の旗艦店にも多くの外国人客が訪れるようになっている。

 18年2月に閉店した有楽町店は、14~15年ごろから海外の無印良品の店舗では買えない商品を求めるインバウンドの来店が増え、海外の無印ファンの「聖地」ともなった。早くから素材から一貫の海外生産に着手し、海外出店にも並行して取り組んだ結果、ニーズを捉えた商品開発、適正価格の見極め、居心地の良い店作りを世界共通規格でできる力を持つにいたった。

18年12月に閉店した無印良品の有楽町店はリニューアルで提案の幅を広げ、店客を増やした

 ファッションを楽しむ消費者の関心が服から生活全般へ広がったことで、日本のライフスタイルショップは生まれた。テイストも価格帯も多様化していく中、生活の質を上げるヒントとなる提案か、国を問わず通じるモノそのものの本質か、目の肥えた消費者に響く提案だけが勝ち残る時代を迎えている。

(繊研新聞本紙1月1日付)

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