ニュース2017④ エシカル・サステイナブルへの取り組み

2017/12/29 11:05 更新


 サステイナブル(持続可能な)という言葉や考え方が、企業から消費者まで本格的に浸透し始めた1年だった。外的要因としては、15年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定が大きい。いずれも、先進国、途上国ともに、地球の未来に対して責任ある行動を取る必要性を訴えている。日本は東京五輪・パラリンピックの開催も控え、国際的な動きへの対応は来年以降もさらに加速することが予想される。

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◆SDGsの普及進む

 SDGsは、企業の経営方針やCSR(企業の社会的責任)報告書、統合報告書の中でも取り上げられるようになった。SDGsは01年のMGDs(ミレニアム開発目標)の後継として策定したもので、すべての国・地域を対象に持続可能な世界をつくるための2030年までの17の目標と169のターゲットで構成される。「レスポンシブル・コンサンプション・アンド・プロダクション」(つくる責任つかう責任)など繊維・ファッション企業に深く関連する目標もある。12月のエコプロダクツ展に設けられたSDGsエリアには、ファッション関連の企業や団体も出展した。繊維や農・漁業、フェアトレード(公正取引)などサステイナブルな調達や環境・社会配慮に関連する国際認証の普及を目的に今年設立した日本サステナブル・ラベル協会は、同エリアで企画展示を行った。

 環境・社会・企業統治の頭文字を取ったESGも、投資の世界の重要な判断材料として注目されている。

◆エシカル消費の動き

 消費者の意識や行政の変化も急だ。消費者庁は今年、15年から取り組んできた「倫理的消費」の調査研究をとりまとめ、エシカル(倫理的)消費の推進や教育に力を入れている。また浜松市と逗子市が今年、フェアトレードタウンに認定された。百貨店や商業施設ではエシカルファッションブランドの出店や期間限定店の開催が目立つようになった。

 東京五輪・パラリンピックに関連した木材や食料に関して持続可能性に配慮した調達コードが策定されたが、繊維・ファッション企業の調達に関してもNGO(非政府組織)やメディアからの監視が強まっている。

 海外工場のからんだサプライチェーンでは、国際人権NGOのヒューマンライツ・ナウがミキハウストレードとルシアンに対し、ミャンマーの委託先工場の労働環境などの問題点を指摘した。両社・グループは対象工場の調査や報告書の公表、CSR調達のガイドライン策定など課題解決に取り組んだ。国内では、ジャパンイマジネーションの商品を生産していた縫製工場の人権・労務問題がテレビ番組で取り上げられた。

 「グッチ」のファーフリー宣言など、ファーに関連する話題も多かった。国内ブランドでもリアルファーからフェイクファー(エコファー)に切り替える動きが出始めている。

エコプロダクツ展では日本サステナブル・ラベル協会が、「お茶の間にSDGs」をテーマにブースを作った


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