ニュース2017② スマートウェアへの注目高まる

2017/12/27 11:05 更新


 スマートテキスタイルおよびスマートウェアの開発が世界で盛んだ。導電性を備えた特殊な糸や染料などを駆使したフレキシブルな配線、センサーがテキスタイルに搭載され、衣服になって、着用者の心拍・心電、体の細かい動きといった生体情報を受発信できる。例えば、労働者、被介護者などの体調を遠隔地から見守ることができたり、VR(仮想現実)ゲームにも活用できる。近い将来、スマートウェアは従来の衣服の枠を越え、スマートフォンのように1人1枚持つ時代が来るかもしれない。

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◆情報技術の進歩が後押し

 スマートテキスタイル、スマートウェアの開発は、ICT(情報通信技術)の飛躍的な進歩を背景に活発になっている。ICTの進歩とは主に次の3点だ。まず、大容量のデータ処理が高速かつ少ない消費電力でできるようになった。二つ目に、センシング技術がより高精度になっている。センサーは小指の爪のサイズぐらいまで小型化し、薄くなった。曲げたり伸ばしたりしても性能を損なわず、洗濯耐久性も備える。これらのおかげで着用ストレスは大幅に軽減できる。三つ目に、データを目的に応じて解析するためのアルゴリズムの開発が進み、様々なサービスの提供が可能になりつつある。

 現在、スマートウェアで提案されている用途は介護やリハビリなどのヘルスケアやスポーツ分野。発作の予兆を察知し、担当医師に通知が送られたり、アスリートが効率的なトレーニング方法や休養の方法を知るためのツールとして活用する方法が提案されている。

◆来年は「量産元年」

 日本の開発事例は素材メーカーが主体となり、得意の高機能繊維や、その加工技術を駆使している。14年1月に東レとNTTが共同開発した「ヒトエ」を皮切りに、各社が相次いで発表した。ヒトエは、体が発している微弱な電気信号である心電位、筋電位などの生体信号をセンシングできる機能素材。ゴールドウインがスポーツ用アンダーウェアとしていち早く商品化したほか、建設現場などの屋外作業者の健康・安全管理を行う「作業者みまもりサービス」なども始めている。

 この間、動きが活発なのは銀メッキの導電性繊維メーカーのミツフジ(京都府精華町)だ。導電性繊維を使ったウェアラブルソリューションを開発している。「人が病気になる、ストレスを抱える、スポーツがうまくなるメカニズムや、感情が動くメカニズムを生体情報で解明する」ことを目指し、アルゴリズムの研究も含めて国内に「圧倒的な開発体制を築く」構えだ。

 この数年で各社の開発が進み、製品としての完成度は着実に上がっている。以前はノイズが目立ち、計測データの正確さに課題があった。最近はそうした課題もクリアされてきた。ある有力メーカーは、毎年1月に開催されるウェアラブル製品の見本市について、昨年は「ほとんどが視察」、今年は「スマートウェアを活用したビジネス展開のイメージが徐々に見えてきたのか、具体的な商談が進み出した」と指摘する。ミツフジの三寺社長は「18年は量産元年になる」と見ている。

東レとNTTが共同開発した「ヒトエ」



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