【ファッションビジネス新・成長の条件③】組織

2019/05/05 06:26 更新


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《ファッションビジネス新・成長の条件③》組織 自由に意見を出せる集団に

 昨年末、東京・神宮前のビームス本社のオフィスに通じる廊下に一枚のポスターが貼り出された。こぶしを突き出した女の子のイラストと「本気(ガチ)で挑め! 時代は変わる」のコピー。新規事業のアイデアを募集する社内プロジェクト「タネマキ・グランプリ」の開催告知だ。応募条件は完全オープン。役職もキャリアも関係なく、アルバイト、パートも応募できる。

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夢中には勝てない

 思いつきやひらめきをメモにした程度でもいい。ファッションに関連する事業でなくてもよく、スポーツなど自分の趣味で「こういうコトやモノがあれば」と思ったことでも構わない。自由にアイデアを募る理由を、設楽洋社長は「努力は夢中には勝てないから」と説明する。

 今期(20年2月期)から中期計画をスタートした。定量目標以外に「頑張りたい社員が頑張れる」環境の整備を重視した。女性の活躍や在宅勤務など、社員の働き方の多様性の実現を、成長と同列の課題として盛り込んだ。創業から40年を超え、同社の売上高は800億円近い。現場から上がる「これをやろう」という声を次々に形にすることで成長してきた。

 だが組織が大きくなると自由闊達(かったつ)な議論の場が減り、若い世代は意見を言うことに躊躇(ちゅうちょ)し始めた。生き方やライフステージに応じた働き方ができる企業を目指す一方で、新規事業開発の社内コンペを行うのは、現場が思うままに声を上げる気風を取り戻すためだ。どんなアイデアでも、ビームスの未来に「種をまく」ことになるなら、実現の可能性を真剣に探る。

垂直よりも水平で

 社内SNSを使った全社員投票を経て、二次審査に進むと、応募者は知恵やノウハウを持つ他の社員を探し、チームを作ってアイデアを具体化する方法を考える。「社内チームが、社外のブレーンともつながり、社員のネットワークが広がる」ことを狙う。「(応募案件)全部を応援できなくても、選考プロセスの中で、仕事の組み立て方を学び、部署や立場に関係なく社員同士のコミュニケーションが活性化すればいい」。

 一定の規模に達したファッション小売りが、さらに成長していくには、既存事業を伸ばす以外に、時代の変化に応じて新たな商売を生み出し続ける必要がある。ネットの発達に伴い、情報伝達の速度が上がり、ビジネスモデルが陳腐化するサイクルも短くなっているからだ。

 SNSでつながり、トレンドや旬の共有が日常となった消費者の関心事は、瞬く間に移り変わる。トップダウンによる垂直型の意思伝達では、このスピードに追いつけない。現場の気付きや熱意を最大限に生かすには、部署や上下に関係なく集まったチームがアイデアを素早く具体化する、水平型の働き方ができる組織が求められる。

社内コンペには最終的に300件を超える応募があった(ビームス本社)

(繊研新聞本紙19年3月29日付)


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