防災啓蒙(けいもう)活動を行うEnPal(エンパル)は5期目に入った。弊社調査ではSCの4分の1強が浸水想定区域に立地している。しかし、大型商業施設の防災訓練といえば、地震や火災を想定し、ご来店の顧客を安全に誘導する避難訓練が中心となっている。
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16年の産業別雇用人口によると、繊維・ファッションビジネス業界に働く人数は180万人弱。人材不足が叫ばれるなか、ES(従業員満足)が重要だと分かっているのに働く人たちの命を守る教育は、なぜ用意されないのだろう。
私は年間40回も防災訓練を実施し、22年の台風15号で浸水被害をこうむった新静岡セノバで「ESぼうさい」と名付けた店長研修を開始した。停電、断水の苦労だけでなく、スタッフのシフトや通勤に支障が出る問題が明らかになった。全国にショップ展開し、店舗の被災経験もあるアイジーエーも全店参加の研修を実施。今年度は山口、鹿児島、首都圏のSCでショップ店長向け防災研修の取り組みが広がってきている。
研修で行うアンケートでは、店長の半数以上が、地域の過去の災害の歴史を知らないと回答。
自宅のハザードマップを初めて見たという店長がほとんど。自分ごとにするには「リスクを知る」ことが何より重要だ。
(エンパル代表 金藤純子)
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「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。