《視点》技術≠価値

2025/07/11 06:23 更新


 セールスドライバーの熱中症対策に取り組むヤマト運輸が、猛暑リスクを可視化するミツフジのウェアラブル製品を導入した。この背景を聞いて、ウェアラブル技術を活用した体調モニタリングのサービスがようやく社会に普及するフェーズを迎えたと思った。

 ヤマト運輸は「ドライバーは責任感が強い分、体調の異常を自覚しても言い出しにくい状況があっただろう」と話す。これからはウェアラブル製品が、「言いにくかった」ことを代わりに伝えてくれる。

 体調モニタリングサービスが実用化されて久しいが、なかなか広がらなかった。メーカーの技術力とユーザーが求める価値は必ずしも同じではない。様々な事例を振り返ると、ニーズや期待に対する製品・サービスのミスマッチが多かった。

 ミツフジは熱中症対策を課題とする企業にとことん向き合い、現場にフィットする開発・改良を重ねてきた。だからこそ、そこまで技術力を昇華できたのだろう。社会実装は実社会で使える状態。ここからは他社も含めて、本格的に価値提供フェーズへ移行していくことを期待したい。

(嗣)



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