7月11日に閉幕した国際素材見本市ミラノウニカ(MU)25~26年秋冬では、クラシックなモチーフを生かしつつジャカードや加工でひねりを加えた生地の提案が目立った。秋冬ながらシアー素材が継続し、気候変動の影響からか梳毛織物の引き合いも強まっている。
(ミラノ=三冨裕騎、写真=マルコ・ベルトリ)
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伝統の柄生かし
グレンチェックやタータン、千鳥格子などな伝統的なチェックが違った姿を見せている。ベルベットやメンズライクな梳毛織物の引き合いも良い。ステファノ・ファッダMUトレンドディレクターは、今回のテーマを「MUファミリー」にした背景について「大家族が世代を超えたワードローブを楽しむイメージ。家族とは、守られながらも実験的なことができる環境でもある」と話す。長く着られるための上質さや、手仕事による付加価値も重要と指摘した。
ベルベットのレダエッリ1893は、レーヨンベルベットにオパール加工を施し、透け感とビンテージのような雰囲気を両立した。顔料プリント使いも充実し、毛足のあるフェイクファーの上にチェックのプリントを施したほか、白顔料を使った立体顔料プリントで刺繍のような見え方も面白い。
マリーニ・インダストリーは、一見するとニードルパンチのようなチェックのグラデーションをジャカードで見せた。これを含め、過去のアーカイブを参考にした生地を多く打ち出した。
25年春夏に続き、透け感素材も多い。フェデリコ・アスペジは、オーガンディに花柄の刺繍を施しその上からチェックのプリントを重ねるなど、重層的な加工で見るものを楽しませる。
意表を突く要素
梳毛ギャバジンの動きが良いと話すのは、ラフィニーチョ・ルイージ・コロンボ。コートを梳毛織物で作る顧客が増えてきたという。モヘヤ混のダブルフェイスは固めの仕上げで形が作りやすく、上質な原料が持つ光沢も魅力だ。
紡毛が持つメランジ感や暖かな雰囲気は秋冬において重要だが、重量やタッチなどで意表を突く要素が求められている。エルメネジルド・ゼニアのマルチメランジ紡毛カシミヤツイードは深みのある色合いで、カシミヤならではの優しくなめらかなタッチが上質さを際立たせている。