三越伊勢丹はZ世代に向けたデジタル施策やマーケティングの一環で、立正大学経営学部の浦野寛子ゼミとの産学連携プロジェクトを実施した。同ゼミの学生15人が「若者の百貨店利用促進のためのマーケティング戦略」についてプレゼンテーションし、未来の百貨店の姿を互いに話し合った。
(松浦治)
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同プロジェクトは7月から、百貨店業界の現状や三越伊勢丹のデジタル戦略についての意見交換や店舗見学のワークショップを実施、マーケティングに関して学生が企画案を発表する。同ゼミ3年生15人が3グループに分かれて、12月16日に報告会を開いた。審査会形式で、三越伊勢丹のデジタル推進グループやMD計画部の担当者が出席した。
学生からのプレゼンテーションでは同年代の若者約140人にアンケートを実施し、百貨店の印象は「入りにくい、敷居が高い」という声が圧倒的だった。百貨店で「買ったことがない」というのはもちろん、「行ったことがない」がほとんどだった。百貨店離れが一層、進んでいることが明らかになった。学生からはアプリの使い勝手の向上、VR(仮想現実)の活用、サブスクリプションの導入など様々な提案があった。先行するコーディネートアプリとの比較やカスタマイズ化といった企画案が相次いだ。一方、「店頭での接客は若者にも刺さる。自分の物にはこだわらないがギフトなどで利用したい」という声もあった。
デジタルネイティブのZ世代にとって、スマートフォンのアプリやインスタグラムなどSNSは当たり前のツールになっている。三越伊勢丹の三部智英執行役員MD統括部デジタル推進グループ長は「オンラインでのコミュニケーションの在り方を考えるきっかけの一つとなった。知ってもらうことを通して若者とつながっていきたい」と話している。新規顧客の獲得につながる企画・立案を引き続き強めていく。
三越伊勢丹の産学連携プロジェクトは、16年からの文化服装学院ファッション流通科との接客販売のコラボレーション講座のほか、伊勢丹新宿本店で19年5月に「スチューデント・デニム・リメイク」、20年1月の東京デザイン専門学校との装飾・演出の企画デザインなどに取り組んでいる。