三越伊勢丹はワコールの3Dボディースキャン技術を活用した婦人服のマッチングサービス「マッチパレット」を始めた。全身サイズを5秒で計測し、可視化した体形データに基づいて、販売員が一人ひとりの顧客に最適なスタイリングを提案する。ワコールの3D計測は、19年春から下着で直営店や百貨店で導入していたが、婦人服では初めて。
(松浦治)
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伊勢丹新宿本店3階の婦人服売り場に開設した。計測結果に合わせて、同階のキャリアのほか、1~25号に対応するクローバー(大きなサイズ)とストロベリー(小さいサイズ)の50ブランド、約1万種類の婦人服から販売員がマッチングし、リコメンド(お薦め)する。3D計測、コンサルティング接客は30分と90分の2コースを無料で実施する。
計測は全身18カ所で、体の厚み、バスト~ウエスト、下半身の広がりを5段階のチャートで診断し、27種類の体形タイプに分類する。その体形タイプに合わせ、10人の専任販売員が具体的なブランド・アイテムを提案する。従来の買い物にかかる探す時間の短縮や選ぶ手間の解消などソリューション(課題解決)型のサービスとして定着させる。
婦人服は先行している婦人下着や靴と比べて、「自分に似合っているのか」「他人にきれいに見せたい」「ぴったり合うサイズは知りたいが、ルーズな着こなしもしたい」など感性やサイズ感の要素が購入動機として大きい。「単なるサイズ計測によるデータの可視化だけでなく、百貨店の強みである人の力で、お客様の好みや体形タイプにマッチするスタイリングを提案する」(城陽太新宿婦人営業部計画担当ディレクター)と、デジタルとアナログを掛け合わせた新しい購買体験を提供する。
サービス体験後にはLINEを活用したオンラインチャットサービスを実施する。専任販売員に自分の体形タイプに合った洋服選びや悩みをワン・トゥー・ワンで相談できる。ただ、現状はマッチングとレコメンドの商品提案がオンラインだけで完結するまでに至っていない。電子化した顧客情報の蓄積やAI(人工知能)の活用、取引先との情報共有などを通じて店舗とオンラインのシームレス化を目指す。