記者が体験!ワコール3Dスマート&トライで〝ぴったりブラ〟探し

2019/08/13 06:28 更新


《販売最前線》ワコール3Dスマート&トライ 3Dボディスキャナーと接客AIで〝ぴったりブラ〟探し

 女性にとって、下着、特にブラジャー選びは〝ぴったりサイズ〟探しがカギ。ブラジャーは一般的にカップサイズとアンダーバストでサイズ表記されているが、バストの容量やバージス(バスト下辺)の幅、加齢に伴う体形変化などによって、同じサイズでも、合うものと合わないものがある。

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 これまでは販売員(ビューティーアドバイザー)の採寸や試着がぴったりブラ選びの王道だったが、ワコールが東急プラザ表参道原宿にオープンした「ワコール3Dスマート&トライ」は、3Dボディースキャナーで採寸し、接客AI(人工知能)がお薦め商品を提案するという、新しいサービスを提供する。

東急プラザ表参道原宿にオープンした「ワコール3Dスマート&トライ」

■5秒で150万ポイントを計測

 従来の下着店や売り場では、採寸やフィッティングの技術を持つ専門の販売員が、下着選びをサポートしている。ただ、「着替えて試着をするのが面倒」「販売員とのコミュニケーションが苦手」「恥ずかしい」などの理由で試着を敬遠する女性も多い。

 ワコールでは昨年から下着売り場とは別の場所で販売員が接客する「ブラ無料診断」を実施してきた。「採寸」と「販売」を明確に切り分けることで、これまで下着売り場には来なかった若い客層も診断を受けた。

 3Dスマート&トライはさらに採寸のハードルを低くしている。販売員の採寸は約5分かかるが、3Dボディースキャナーは5秒間で採寸が終わる。販売員の手を借りることなく、1人で完結できる。実際には着替えや、ID・パスワードの登録などの時間がかかるが、2回目以降はより短時間で採寸が可能だ。

 セルフで使えるAI接客タブレットは3Dボディースキャナーが計測した150万ポイントのデータを基にしたサイズに加え、胴体断面の形状、バストの容量、バージスの幅、左右間の距離などの体形データを元に、お薦めのブラジャーを提案してくれる。

3Dボディースキャナーで採寸したデータを元に、タブレットでは3Dの体形画像が表示される

■しっかりカウンセリングも

 店内にはブラジャーを中心に約150品番を揃える。専門店向け「サルート」、百貨店向け「パルファージュ」、直営店「アンフィ」や量販店主力の「ウイング」など、販路や対象年齢を区切らない商品を揃えていることも特徴。店頭のSKU(在庫最小管理単位)は少なく、下着店というよりはショールームのような見せ方をしている。その場で購入もできるが、在庫がない場合は自宅への配送や、店舗受け取り、EC経由など、購入方法も選択できる。

 オープンから約2週間の来店客は1800人、3D計測を体験した人は1100人を超え、来店客数・計測人数ともに計画を上回るスタートを切った。計測後の購入率は約25%。場所柄もあって客層は20~30代が7割を超える。

計測のデモンストレーション

 デジタル技術を活用したセルフでの採寸、商品選びができる一方、販売員のカウンセリングをしっかりと受けることもできる。予約制のカウンセリングは1人あたり1~1.5時間かけて行う。カウンセリング室は二つあり、一つは予約用、もう一つはふり客用として使っている。カウンセリング室にも3Dボディースキャナーを設置している。デジタルとアナログを使い分けながら、顧客一人ひとりの好みに応じた接客が受けられるというわけだ。

採寸したデータとそれを元にお薦めの下着サイズが表示される。印刷して持ち帰ることも可能だ

 9月には大丸心斎橋店に2号店を出店し、22年3月までに3Dボディースキャナー100台を設置する計画。「ワコールのオムニチャネル戦略はEC売上高の拡大ではなく、3000を超えるリアル店舗の活性化が主眼」と繰り返し同社が述べているように、デジタル技術を活用しながらもリアル店舗の活性化につなげようとしている。

■記者が体験

人目気にせずあっという間に採寸 下着を選ぶ楽しみ増えそう

 流れは至ってシンプル。広々とした試着室は着替えと計測をするスペースに分かれている。専用のブラジャーと下はショーツになり、ボディースキャナーの指示に従いながら撮影する。あっという間に体形データが3Dで写しだされ、結果に納得がいかない場合は撮り直しも可能。データは店内のタブレットに反映され、それを参考にしたお薦め商品も見られる。

 対面接客の利点は、着用感をもとに自分に合ったカップの形を薦めてくれたり、フィット感を高めるためにストラップの長さを微調整してくれたりすること。一方で販売員に体を見られるのが恥ずかしく、試着をしないまま納得のいく買い物ができないこともしばしばある。

 デジタルでの採寸、接客は人目を気にせず、自分の体形にあったブラジャーを選べてストレスが少ない。「こういう商品が欲しい」「カップが浮いてしまう」という相談ができないのではとも思ったが、タブレットではブラジャーの形やデザインの好み、普段着用していて気になることなど、選択式の質問が設定されているうえ、予約すればカウンセリングも受けれられるので安心。店構えもすっきりと清潔感があって入りやすい。

カウンセリングではプロの販売員に悩みを相談できる

 タブレットの操作は簡単で誰でも使いこなせそう。その場で気に入った商品を選んで紙に印刷すると、商品画像と色や値段などの情報とともに、ECの商品ページに直結するQRコードも表示され、ネット購入での失敗を抑えられるのもうれしい。採寸データは定期的な体形チェックにも役立ちそうだ。 

 今回、デジタルの利便性を痛感した。販売員を介さずに体形やサイズを知られるデジタル接客を活用すれば、下着を購入する楽しみが増えそうだ。

計測した体形データやおすすめ商品をタブレットでチェック

(関麻生衣/繊研新聞本紙19年6月28日付)



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