経産省 中小企業の価格転嫁と賃上げを促進、150社の評価を公表

2023/02/08 06:26 更新


 経済産業省は、「中小企業の賃上げとその原資となる価格転嫁を促進する施策を強化」(西村康稔経産相)する。その一環として、昨年9月に実施した「価格交渉促進月間」の下請け中小企業へのフォローアップ調査をもとに、発注側の大企業の価格交渉と価格転嫁の取り組み状況を初めて整理し、企業名も記載したリストを公表した。併せて、賃上げを実施した中小企業に対する補助金の優遇措置を拡大する。

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 リストは昨年9月の価格交渉促進月間のフォローアップ調査で、10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業148社の価格交渉と価格転嫁の回答状況を整理した。10点満点からマイナス点まで点数化し、回答の平均が7点以上を「ア」、7点未満4点以上を「イ」、4点未満0点以上を「ウ」、0点未満を「エ」とした。価格交渉ではアが全体の約3割、イが約5割、価格転嫁ではアが約1割、イが約6割、ウが約3割だった。 繊維関連企業では旭化成と東洋紡が価格交渉、価格転嫁ともにア、東レ、帝人フロンティア、三菱ケミカルが価格交渉でア、価格転嫁でイ。小売業のイオンリテールは価格交渉、価格転嫁ともにイだった。

 今回の調査をもとに「各企業に取引改善に前向きに取り組んでほしい」(鮫島大幸中小企業庁事業環境部取引課長)とする。これとは別に、フォローアップ調査で「芳しくない評価」を受けた企業約30社に対し、所管大臣名で指導・助言をした。

 併せて、繊維・ファッション企業でも利用が多い「ものづくり補助金」と「事業再構築補助金」の22年度第2次補正予算分で、賃上げした企業に対する優遇措置を行う。ものづくり補助金では給与支給総額を年率6%引き上げた企業に補助上限額を最大1000万円上乗せする措置などの公募を開始、事業再構築補助金では申請枠「成長枠」「グリーン成長枠」の中で、年率3%以上引き上げた企業に段階的に加点する措置を3月からの第10回公募で開始する。



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