再び米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏。「アメリカ第一主義」を掲げ、高い関税を課す考えを示し、WHO(世界保健機関)からの脱退を表明した。地球温暖化対策の国際的枠組みである「パリ協定」からの離脱も決め、化石燃料を「掘って、掘って、掘りまくれ」と言い放った。
トップが変わると政策もこれほどまでに変わってしまう。しかし、それに付いていかざるを得ないのがビジネスの世界だ。トランプ氏は「メキシコとカナダに最大25%の関税を課すことを検討している」という。米国向けを手掛ける商社繊維事業も影響を受けそうだ。
蝶理の迫田竜之社長は、中国の糸をメキシコでカーシートにして米国に販売する事業への影響を心配する。一方で、「サプライチェーンが変わることで新たなビジネスチャンスが生まれる」とも。ピンチをチャンスに変える発想で前を向く。
22年から米国法人が本格稼働したスタイレム瀧定大阪の瀧隆太社長は「ビッグチャンス」と捉える。中国品への関税がさらに高まった場合、中国から米国への生地販売は影響を受けるが、「中国以外の地域、例えば日本、インドネシア、韓国などからの販売は伸ばせるのでは」と商機をうかがう。
コロナ下、商社は海外拠点を活用してサプライチェーンの混乱に対応し、供給網を確保した。あの時の経験が経営を強くしている。