《視点》外国人の年金

2025/07/15 06:23 更新NEW!


 縫製工場の経営者と話していた時に、外国人を取り巻く年金制度の矛盾について聞いたことがある。

 外国人も公的年金に加入する義務がある。年金を受給するための資格期間は10年。しかし、技能実習生は1号から3号までトータルしても日本に在留できるのは最長5年。つまり、そもそももらえないと分かっている年金を払い続けることになる。

 被保険者資格を喪失して、日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金として請求することも出来る。それでも全額は返ってこない。

 脱退一時金の計算上限は5年。今後、原則3年とされる育成就労制度と5年を上限とする特定技能1号で滞在した外国人は、計8年間日本にいても、3年分は全く戻ってこない。年金の企業負担分の返還はゼロだ。

 「最初から年金を徴収せず、実習生に給与として還元してあげたい」と話す経営者の気持ちはよく分かる。

 昨年末の在留外国人数は約376万人で、前年比10.5%増えた。国際的な人材確保の観点からも、年金制度の柔軟な見直しが必要になる。

(森)



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