韓国で5年ぶりに政権が交代する。大統領選挙で保守系野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏が当選し、5月に大統領に就任する。争った革新系与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏との得票差は1ポイントもなく、史上まれに見る大激戦だった。バイデン氏とトランプ氏が争った20年の米国大統領選と同様、国を二分した形だ。
負けた李氏は革新系が強いソウルで伸び悩んだ。ソウルでは現文在寅(ムン・ジェイン)政権が発足した5年前と比べて不動産価格が高騰、家を買えない人が増え与党不支持につながった。
文政権の政策で印象的なのは最低賃金の大幅な引き上げ。18年、19年と2年続けて10%以上引き上げた。コロナ禍の影響もあるが韓国では、大学を卒業しても就職できない非正規労働者が増え、問題化している。
日韓関係は冷え切っている。新大統領となる尹氏は「過去より未来をどうするかが両国の利益」と語った。韓国との初の経済連携協定、RCEP(地域的な包括経済連携)協定が2月1日発効した。繊維品の輸入では衣類を除く、合繊ファイバーなど多くの品目で関税が即時撤廃された。長期的には輸出入でメリットがあるだろう。ロシアのウクライナ侵攻をみると隣国との付き合いがいかに大事かわかる。敵対して良いことは何一つない。