《めてみみ》国独自の発展形

2022/03/16 06:24 更新


 新型コロナウイルスのオミクロン株感染が拡大する上海では、自宅待機の要請が出されるなど予防措置が厳しくなった。封鎖地区も増え、通行不可な道路が出たためか、業務用の資材の配送が遅れたり、飲食の出前対応店が一時ネットから消えたとの情報も流れた。物流にも多少の支障が出るようだ。

 1カ月前、ネットで購入するものについて20代後半の女性と話したところ、「出前はもちろん、買い物全てネットで済ます」という。服も価格の高低にかかわらず、全てネットで注文して自宅に届け、嫌なら返品する。

 理由は「ネットの方が店より価格が安いし、返品するのも簡単。最近は物流費が上がって返品費用がかかるが、使わずに置いておくよりマシ」。コストがかかることに納得しているのは意外に思った。

 日本は返品率が20%超で高いといわれ、その率を下げるために仮想試着アプリなどが開発されている。一方、中国ではダブルイレブンなど大型販促日の返品率は50%近いようだが、そうしたアプリ開発の話題は耳に入ってこない。むしろ、街を縦横無尽に走り回る豊富な電動バイク配送員の働き手が便利を下支えしている。実店舗の運営者に聞くと、数年前に叫ばれていたデジタル技術で顧客接客体験を補完しようという考えは、ほぼ消えている。ネット販売も国独自の発展形がある。



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