《めてみみ》実態に即した支援

2021/08/26 06:24 更新


 経済産業省は8月23日の産業構造審議会(経産相の諮問機関)の総会で、来年度予算概算要求の骨格となる「経済産業政策の重点」案を示した。「最重点課題」に毎年掲げる福島の原発対策に次ぐ「大きな柱」として、コロナ禍を踏まえた中小・小規模事業者への支援策を掲げたのが特徴だ。

 繊維・ファッション企業を含め、中小企業を取り巻く環境は厳しい。対策として、政府は雇用調整助成金の特例措置や金融機関による実質無利子・無担保融資を軸にした資金繰り支援、月次支援金の給付などを実施している。重点案では「資金繰り支援に引き続き万全を期す」とともに、「事業再構築や再生、生産性向上などに必要な支援を強化する」とした。

 中小企業政策を大テーマに掲げた点は評価したい。ただし、実態に即した政策でなければならない。業種・業態によっては、健闘している中小企業も多く、業績が悪化した大企業もある。企業の規模だけでなく、その状況に応じた支援策を講じる必要がある。

 前年度補正予算で措置した「家賃支援給付金」や緊急事態宣言などに伴う大規模施設等協力金の支給額はファッションビジネス業界の実態に即したものではなかった。今後の予算編成に向け、業界団体は各事業者の現場の声をしっかり集め、実態に即した具体的な要望を政府に伝えるべきだ。



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