《めてみみ》服の持つ力

2025/05/30 06:24 更新


 ある人からいただいたギフトを開けてみると、この春に買おうか悩んでいた服だった。どうしてこれが欲しいと分かったのだろう。試着しようとするところを目撃されたのか。そんな疑問が浮かんでくる。贈り主に聞いてみると見たわけではなく、「このパンツが似合いそう」と選んだとのこと。偶然とはいえ、贈る側の意図と受け取る側の願望がぴたりとはまった格好だ。

くしくもギフトをいただいた日は体調を崩しており、しばらく安静を勧められていた。そんな状況だったためか、「早く元気になって、あの服を着たい」と前向きな力が湧いてきた。ギフトは贈る側の思いが投影されたもの。それが受け取る側に特別な感情を生むのだろうか。しばらく経験しなかった、新たに手に入れた服を着る時のドキドキ感や楽しさを、ふとしたきっかけで思い出すことができた。

思い返してみると、近頃は何げなく服を選ぶ日が多かった。せいぜい天気や気温から今日はこれにしようというくらい。知らず知らずのうちに、服を選ぶ楽しさやこだわりを忘れかけていたのかもしれない。服を選びながらその日の行動を考えたり、モチベーションを上げたりすることも減っていた。

あの服を着て今日はこうしよう。服一つでポジティブな行動力を高めることもできる。それも服の持つ素晴らしいところだと思う。



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