企業の都合が優先され、消費者が軽視されているケースは少なくない。最近最も気になるのは、医療機器という言葉がマーケティングに利用されているのではないか、ということだ。
昨今話題のリカバリーウェアのPRが当てはまる。医療機器に該当しない製品でリカバリーや疲労回復をうたう企業は論外として、医療機器なのに誤った情報発信をしているケースも後を絶たない。
医療機器という言葉は強烈だ。同じ価格の類似製品で、医療機器とそうでない製品があれば、医療機器が選ばれる可能性が高いはず。この言葉が持つイメージ、消費者に与える心理的な効果はきっと強い。厚生労働省も「医療機器は症状に対する効果を期待して購入される物」という。だからこそ「医療機器を売り文句として利用するという意図は消費者に対して不誠実」と厳しい。
健康上の悩みを抱える人に真摯(しんし)に向き合い、適切な製品をもって事業活動をしている企業もある。一方、知ってか知らずか法を順守せず、不誠実と捉えられても仕方のない企業もある。今一度立ち止まって法はもちろん、消費者を軽視していないか見つめ直さなくてはならない。
(嗣)